1999 Fiscal Year Annual Research Report
CHIME年代からみた飛騨変成帯構成岩類の生成の時空間
Project/Area Number |
10640435
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
相馬 恒雄 富山大学, 教育学部, 教授 (40019039)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
横山 一己 国立科学博物館, 地学研究部, 室長 (40126628)
後藤 篤 姫路工業大学, 理学部, 助手 (50211917)
椚座 圭太郎 富山大学, 教育学部, 助教授 (30225180)
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Keywords | 飛騨変成岩類 / 宇奈月変成岩類 / 飛騨変成作用 / 船津花崗岩類 / 飛騨変花崗岩類 / CHIME年代 / SHRIMP年代 |
Research Abstract |
平成11年度では、飛騨地域の花崗岩類の生成の時空間および宇奈月変成岩類と飛騨変成岩類の関係を調べるために、新たに約50個の試料についてCHIME年代を測定した。その結果、以下のことが明らかになった。1、能登半島の富来地域や福井県越前大野地域などを含めて全ての地域でジュラ紀船津花崗岩類とされていたものが3億年花崗岩であることが判明し、これらを飛騨変花崗岩類と命名した。2、富来地域、宇奈月地域でジュラ紀の接触変成作用とされていたものは、熱源の花崗岩が3億年前のものであることが判明した。3、宇奈月変成岩類は宇奈月、麦島地域で飛騨変成岩類である3億年花崗岩を伴うので、原岩は約3億年前大陸分裂帯となっていた飛騨変成岩類を基版として堆積したと考えられる。4、麦島地域の宇奈月変成岩類では、閉鎖温度の低いモナザイトでも約2.7億年の年代しか示さない。従って、約2.5億年の衝突型の飛騨変成作用に水平方向の変成度の違いがあること、宇奈月変成岩類を含めた飛騨変成岩類の性質は飛騨変成作用よりも約3億年前からの大陸分裂にともなう変成作用で決まっていたことが明らかになった。 ジルコンのCHIME年代の精度はPbOの分析精度にかかっており、5億年より若い場合には誤差が大きくなる。そこで飛騨変成岩類のCHIME年代の精度を確認するために、広島大学のイオンプローブによる同位体年代測定装置であるSHRIMPによって、CHIME年代測定をおこなった試料の年代測定を開始した。予察的な測定では、SHRIMP年代は、CHIME年代の頻度の高い値とほぼ一致することがわかった。従って、CHIME年代による飛騨変成帯発達史と、CHIME法の迅速性と空間分解能の高さを生かして複雑な熱イベントの解析するという方針が支持される。
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