1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10640439
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
三瓶 良和 島根大学, 総合理工学部, 助教授 (00226086)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大平 寛人 島根大学, 総合理工学部, 助手 (60273918)
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Keywords | メチルフェナントレン / メチルベンゾチオフェン / 有機熟成度 / 堆積盆の埋没史 / 石油・天然ガス鉱床 |
Research Abstract |
堆積盆の埋没史および石油・天然ガス鉱床の形成を明らかにするため,低熟成帯から過熟成帯まで広範囲で使用できる熟成指標(堆積岩が地質時代を通してどの程度の熱と時間を経験したかを知る指標:有機熟成度)を構築することを目的として研究を行った。本研究では、ビトリナイト反射率よりも分析が容易で、堆積岩に普遍的に含まれている抽出性有機分子(特にメチルフェナントレン:MPとメチルベンゾチオフェン:MBT)に着目して、低熟成帯から過熟成帯まで連続して使用できる有機熟成指標を実用化することを目的とした。本年度は、試掘試料「基礎試錐 富倉」(5600m)および300〜400℃の最大古地温下まで埋没したことが分かっている四万十帯の泥質岩試料についてメチルフェナントレン・メチルベンゾチオフェン構造異性体変化を明らかにし、ビトリナイト反射率との対応関係を検討した。 試掘試料「基礎試錐 富倉」(5600m)では、ビトリナイト反射率は%Ro=0.5〜3.0(1800m〜5600m)の範囲で単調に増加している。MPI3(2MP-3MP)/(1MP+4MP+9MP)は0.86(1800m)から深度と伴に増加して、4400m(%Ro=1.9)でピーク値2.88となり、5600m(%Ro=3.0)の1.2まで減少した。一方、メチルジベンゾチオフェン:MDBTのα/(α+β)比では、1800mの0.24から5200mの0.64までほぼ単調に増加した。四万十帯泥質岩では、%Ro=0.5〜1.9の範囲でMPI3が増加し、その後MPI3は%Ro=4.3まで減少して1.4となった。今回測定されたMPI3の変化傾向は、Radke et al.(1982)らが報告しているものと同様に、増加して減少する変化を示したが、MDBT値を併用することで、MPI3が増加時のものか減少時のものかを判断することができ、広域の熟成指標として用いられることが確認された。
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