Research Abstract |
当別低硫化系浅熱水性金銀鉱床は,おもに中部中新統イクルシベ層安山岩質火砕岩類および溶岩類と,安山岩岩脈類中に胚胎する含金銀石英-氷長石脈や石英脈である。鉱脈は,走向が一般にN-S〜N20°W,N40゜〜60°WおよびN70゜〜80゜W,傾斜が50゜〜80゜SWで,平行脈や分岐脈からなる。また,その脈幅は一般に約1〜5mである。鉱化作用は,鉱脈の産状に基づくと,二分され,ステージIが金銀鉱化期,ステージIIが銅鉛亜鉛鉱化期である。ステージIの鉱石は石英と氷長石を主とし,少量のエレクトラム,硫銀鉱,黄銅鉱,方鉛鉱,閃亜鉛鉱,黄鉄鉱,白鉄鉱,方解石などを伴い,ステージIIの鉱石は石英を主とし,少量の黄銅鉱,四面銅鉱,方鉛鉱,閃亜鉛鉱,黄鉄鉱,赤鉄鉱などを伴う。鉱床周辺の熱水変質帯は,産状と鉱物組合せに基づくと,広域変質帯(プロピライト帯,ゼオライト帯およびスメクタイト帯),脈際中性帯(カリ長石帯,イライト帯およびイライト/スメクタイト混合層鉱物帯)および脈際酸性帯(ナクライト帯,ディッカイト帯,カオリナイト帯および明バン石帯)に3大別される。広域変質帯では,プロピライト帯が最も広く分布し,それを取り囲むようにゼオライト帯やスメクタイト帯が分布している。広域変質帯を切る脈際中性帯および脈際酸性帯の伸長方向は,花苦蕊川上流域や久江川上流域では,鉱脈の走向(N40゜〜60゜W)にほぼ一致している。また,上部中新統ハナクシベ層細粒凝灰岩には,幅1〜3cm(稀に1m30cm)の珪化脈が見られる。その珪化脈の走向は,N55〜70°Wであり,鉱脈や節理面の走向とほぼ一致する。
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