日本列島とロシア極東地方のオフィオライト岩類の岩石学的比較研究

1998 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 10640462
• Research Institution: Kanazawa University
• Principal Investigator: 石渡 明 金沢大学, 理学部, 助教授 (90184572)
• Keywords: オフィオライト / ロシア / 沿海州 / シホテアリン / アニュイ帯 / 丹波帯 / 緑色岩 / チュコートカ

Research Abstract

平成10年度はロシア沿海州シホテアリン山地の古生代変斑れい岩体及び青色片岩の調査、同チュコートカ自治州ビリビノ市南方200kmのアニュイ帯オフィオライト岩類の調査、そして、国内においては、福井県及び滋賀県内の丹波帯の緑色岩(主に変玄武岩)の調査を行った。シホテアリン山地では1991年に発見された古生代後期の青色片岩の産状を調査した。この青色片岩は古生代前期の変斑れい岩体の構造的下位に存在し、細長い地窓に露出している。この関係は西南日本の大江山オフィオライトと三郡蓮華変成岩の関係と同一であり、両地域の地質構造の連続性を示唆する。アニュイ帯はコリマ・オモロン地塊とランゲリア・チュコートカ地塊の間の白亜紀造山帯だが、付加体が発達しており、南部に2つの大きなオフィオライト岩体がある。これらはいずれも沈み込み帯域型の岩石学的特徴を持ち、一つは岩脈群が発達し、もう一つは多量の斜長石花崗岩を伴う斑れい岩ノーライトの衝上岩体で、日本の夜久野オフィオライトに似る。丹波帯の緑色岩の調査は付加体の各衝上体の下部に存在する緑色岩と、付加体を覆う大規模な石灰岩ナップに伴う緑色岩で岩石学的な違いが見られるかどうかとういう点に着目して研究した。その結果Al_2O_3/TiO_2比などに明瞭な違いが見られ、付加体底部のものは海嶺・海洋島玄武岩組成のものが混在しているが、石灰岩ナップに伴うものは典型的な海洋島玄武岩であることが明らかになった。平成11年度も日本とロシア極東地域のオフィオライト・緑色岩類の比較研究を継続して行きたい。なお、平成10年度の科学研究費によって購入した偏光顕微鏡、コンピュータ及びそれらに関連する消耗品は、これらの調査及び前年度までの調査で採集された岩石標本の薄片制作、観察、記載と化学分析用試料作製、そして分析データの整理・解析に用いられた。

Research Products

• [Publications] 石渡 明・宮下純夫・齋藤大地・辻森 樹: "ロシア極東タイガノス半島の付加体とオフィオライト" 地質学雑誌. 104・1. I-II (1998)
• [Publications] Tsujimori, T., Saito, D., Ishiwatari, A., Miyashita, S., Sokolov, S.D.: "Electron microprobe element image of zoned chromian spinel with hydrous mineral inclusions in a chromitite from Elistratova ophiolite, Far East Russia" The Science Reports of Kanazawa University. 43・2. 1-11 (1998)
• [Publications] 石渡 明・辻森 樹・早坂康隆・杉本 孝・石賀裕明: "西南日本内帯古〜中生代付加型造山帯のナップ境界の衝上断層" 地質学雑誌. 105・2. III-IV (1999)
• [Publications] 石渡 明・辻森 樹: "ロシア沿海州の古生代青色片岩" 地質雑誌. 108・4(印刷中). (1999)
• [Publications] 石渡 明: "西南日本内帯の古世代海洋性島弧地殻断片:兵庫県上郡斑れい岩体" 地質学論集. (印刷中). (1999)
• [Publications] 齋藤大地・石渡 明・辻森 樹・宮下純夫・S.D.Sokolov: "ロシア極東タイガノス半島のエリストラートバ・オフィオライト:海洋底マントルに貫入する島弧オフィオライト" 地質学論集. (印刷中). (1999)