1999 Fiscal Year Annual Research Report
日本列島とロシア極東地方のオフィオライト岩類の岩石学的比較研究
Project/Area Number |
10640462
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
石渡 明 金沢大学, 理学部, 助教授 (90184572)
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Keywords | 夜久野オフィオライト / トロクトライト / ロシア沿海州 / シホテアリン / 青海・蓮華変成岩 / エクロジャイト質藍閃石片岩 / 丹波帯 / 付加体緑色岩 |
Research Abstract |
平成10年度に続き、平成11年9月にロシア沿海州シホテアリン山地の古生代変斑れい岩体および青色片岩の調査を行い、国内においては、新潟県青海町の蛇紋岩メランジ中の青色片岩、京都府夜久野町の夜久野オフィオライト、および福井・滋賀県内の丹波帯の緑色岩(主に変玄武岩)の調査を行った。シホテリアン山地では環太平洋地域で最も古いオフィオライトの一つであるハンカ・オフィオライトを調査するとともに、夜久野オフィオライトの変斑れい岩と酷似したスピネル変斑れい岩よりなる沿海州北部ビギン地域のオフィオライトを調査することができた。新潟県青海町の蛇紋岩メランジ中の青色片岩については、坂野(1958)の研究以後、詳しい研究がなかったが、今回青海町上路地区の湯ノ谷で、エクロジャイト質藍閃石片岩を発見し、2000年1月の地質学雑誌に報告した。日本のエクロジャイト相変成岩は従来四国中央部に存在が知られていたが、四国以外からは今回が初めての発見である。夜久野町の夜久野オフィオライトは、冨田(1925)が「夜久野斜長岩」を報告して以来詳しい研究がなかったが、今回夜久野オフィオライト本体では初めてトロクトライトを発見し、かんらん石と斜長石の反応関係から、このオフィオライトの特異な変成作用の性質を研究中である。丹波帯の緑色岩の調査は、昨年度に引続き付加体の各衝上体の下部に存在する緑色岩と付加体を覆う大規模な石灰岩ナップに伴う緑色岩の岩石学的な違いに付いて研究している。小浜付近の丹波帯緑色岩中に新たに斜長岩巨晶を多量に含み、かんらん石斑晶仮像を伴う岩脈を発見した。平成12年度も日本とロシア極東地域のオフィオライト・緑色岩類の比較研究を継続して行きたい。なお、平成11年度の科学研究費は上記調査の国内旅費および採集された岩石標本の薄片制作、観察、記載と化学分析用試料作製、そして分析データの整理・解析に用いられた。また平成12年度は本研究の最終年度なので、成果報告書を完成して公表したい。
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[Publications] 石渡明,辻森樹: "ロシア沿海州の古生代青色片岩"地学雑誌. 108.2. 口絵3 (1999)
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[Publications] 石渡明: "西南日本内帯の古生代海洋性島弧地殻断片:兵庫県上部変斑れい岩体"地質学論集. 52. 273-285 (1999)
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[Publications] 齋藤大地,石渡 明,辻森 樹,宮下純夫,S.D.sokolov: "ロシア極東タイガノス半島のエリスとラートバ・オフィオライト:海洋底マントルに貫入する島弧オフィオライト"地質学論集. 52. 303-316 (1999)
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[Publications] T. Tsujimori, A. Ishiwatari and S. Banno: "Discovery of ecologitic glaucophane schist from the Omi area, Renge metamorphic belt, the Inner Zone of southwestern Japan."Journal of the Geological Society of Japan. 106.1. I-II (2000)
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[Publications] 辻森樹,石渡明,板野昇平: "西南日本内帯蓮華変成帯、青海町湯ノ谷のエクロジャイト質藍閃石片岩について"地質学雑誌. 106.5(印刷中). (2000)