1998 Fiscal Year Annual Research Report
太平洋西縁部、高圧型変成帯の上昇プロセスに関する比較研究
Project/Area Number |
10640464
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
前川 寛和 大阪府立大学, 総合科学部, 教授 (50173696)
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Keywords | 高圧変成作用 / ストレッチングリニエーション / 三波川変成帯 |
Research Abstract |
本年度は、徳島県貞光地域および兵庫県三原郡沼島に分布する三波川変成岩類について研究を行った。両地域では、三波川帯に特徴的な東西性のストレッチング・リニエーションが普遍的に認められた。東西性のストレッチング・リニエーションは、一般に、三波皮変成作用のクライマックスのステージから上昇期に形成されたと考えられている。沼島では、線構造の方位に引き伸ばされブーディン構造をなす曹長石斑状変晶が認められるが、斑状変晶のCa量が縁部で最大になり最高温度期以降上昇が起こったことを示しており、上記推論が強く支持される。 貞光地域では、南部に露出する砂質片岩では、東西性のストレッチング・リニエーションが顕著に観察される一方で、東北性のストレッチング・リニエーションも同時に認められる。南北性の線構造は、野外において、砂質片岩に挟在する礫質層の引き延ばされた礫や砂質片岩に発達する弱い線構造として認められ、鏡下においては、礫の伸張方向にプル・アパート構造を示す長柱状の有色鉱物の配列、引き延ばされた細粒の再結晶石英、砕屑性石英粒や長石粒の周囲に発達するプレッシャーシャドウや短冊状の白雲母結晶の配列などによって検知できる。多くの場合、南北性の線構造は、東西性の線構造形成と同時に起こったと考えられる南北方向の圧縮を受けており、南北性の線構造が東西性線構造に先行する可能性が強く示唆される。砂質片岩において、南北性の線構造に平行に切った面で非対称のプレッシャーシャドウやシアバンドを用いて剪断方向を見積もったところ、南北方向ではすべての試料で上盤北向き移動を示すことが明らかになった。変成帯の延びに直交する南北性のストレッチング・リニエーションは、変成帯の上昇に先立つプレートの沈み込みによって形成された可能性が高い。
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Research Products
(2 results)