1998 Fiscal Year Annual Research Report
マントル内地震波速度不連続面の物理・化学的性質の計算機シミュレーション
Project/Area Number |
10640469
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
松井 正典 九州大学, 理学部, 助教授 (90125097)
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Keywords | 地球マントル / 高温高圧 / 計算機シミュレーション / 地震波不連続面 / マントル鉱物 / 原子間相互作用 |
Research Abstract |
Mg_2SiO_4オリビン、変型スピネル、及びスピネルは地球上部マントル、マントル遷移層の最重要構成鉱物である。平成10年度は、それら3種の多形の高温高圧物性計算に適用できる高精度な有効原子間ポテンシャルを求めることを主目標に置いた。 結晶のポテンシャルエネルギーを、クーロン項、ファンデァワールス引力項、反発項から成る二体間相互作用の和で表した。加えて、結晶中における多体相互作用を取り扱うべく、酸素イオンについてはbreathingシェルモデルを考慮した。必要なエネルギーパラメータは、3多形の実測の結晶構造、熱膨張、圧縮率、弾性定数を可能な限り再現するとの条件を用いて経験的に求めた。 3多形のそれぞれについて、求めた物性が非常に多様で、且つ取り扱った温度圧力範囲が極めて広範であるにもかかわらず、実測値と分子動力学シミュレーションによる計算値の一致は極めて満足ゆくものであった。例えば、300Kにおける静水圧縮については、実測データが存在する常圧から17GPa(オリビン)、27GPa(変型スピネル)、31GPa(スピネル)に至る圧力範囲で、3多形のそれぞれについて、実測のモル体積の圧力依存を極めて高精度で再現することに成功した。常圧下における体積熱膨張についても300Kから2100K(オリビン)、1100K(変型スピネル)、1000K(スピネル)に至る温度範囲でそれぞれの実測値を高精度で再現した。300K,OGPaにおける弾性定数(独立な弾性定数は、オリビンと変型スピネルでは共に9個、スピネルでは3個)とそれらの温度圧力依存についても、3多形の各々について、計算値が高精度で実測値を再現することを見出した。
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[Publications] M. Matsui: "Breathing shell model in molecular dynamino simulation : Applicetion to M, O and CaO" J.Chem.Phys.108. 3304-3309 (1998)
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[Publications] C.Takata: "Compntetionel modelling on the stability of new high-pressure phasis of MgAl_2O_4 and Al_2SiO_5" Mineralogical Journel. 20. 171-178 (1998)
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[Publications] 松井正典: "MsO及びCaO結晶の温度圧力状態方程式と弾性定数の計算機シミュレーション" 月刊地球. 2月号. 112-115 (1999)