1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10640471
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
丸茂 文幸 日本大学, 文理学部, 教授 (10013492)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
奥井 眞人 日本大学, 文理学部, 助手 (50307790)
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Keywords | 非化学量論単斜輝石 / 透輝石 / エシネアイト / 単斜輝石 |
Research Abstract |
従来、造岩系非化学量論単斜輝石はキンバーライト中からのみ見いだされていることから、超高圧条件下に特徴的な単斜輝石であると考えられていた。事実、超高圧高温合成実験により非化学量論単斜輝石が得られている。ところが我々は透輝石(Di)23、エシネアイト(Es)53、灰長石(An)24mol%組成のガラスを比較的低温でアニールすることにより、常圧下で非化学量論単斜輝石が晶出することを見いだした。本研究はDi-Es-An擬3成分系において、常圧下で非化学量論単斜輝石が晶出する組成域と温度領域を明らかにすることを目的としている。平成10年度は斜長石成分の入らないDi-Es系の出発原料組成Di 30、Es 70mol%の場合について合成実験と生成物の同定、評価を行った。 目的の組成が得られるように秤量し、湿式混合した試薬を1673Kで2時間溶融した後、急冷してガラスを作製した。これを瑪瑙乳鉢で微粉砕し、結晶合成実験に用いた。原料ガラス粉末を2分し、それぞれを1648Kおよび1593Kで90時間アニールし、それ等を急冷して生成物を調べた。何れの場合も生成物は単斜輝石とガラスであった。EPMAによる化学分析の結果、1648Kで得た輝石の組成は化学式Ca_<0.86>Mg_<0.26>Fe_<0.61>Al_<0.87>Si_<1.33>O_6で、1593Kで得た輝石はCa_<0.75>Mg_<0.02>Fe_<0.04>Al_<1.41>Si_<1.50>O_6で表されることが示された。前者は実験誤差の範囲内で化学量論比を満たし、ほぼDi-Es線上に載っている。一方、後者はM1席およびM2席に入る金属原子の総和が酸素原子6個につき 1.73で、明らかに非化学量論的である。この非化学量論単斜輝石の格子定数はa=9.775(1),b=8.8496(1),c=5.3372(1)A,β=105.91(1)°で、単位胞が透輝石やエシネアイトの単位胞より大きい。この点で、透輝石より小さい単位胞をもつキンバーライト中から見いだされている非化学量論単斜輝石とは異なる。
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