2000 Fiscal Year Annual Research Report
ゼオライト超分子の分光学的挙動及び光化学反応挙動の研究
Project/Area Number |
10640487
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
小嶋 政信 信州大学, 農学部, 助教授 (20153538)
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Keywords | ゼオライト / シスートランス光異性化 / アゾベンゼン / スチルベン / 濃度効果 / 自由体積 / 金属イオン / 静電的相互作用 |
Research Abstract |
ゼオライト細孔内に吸着系されたゲスト分子の分光学的挙動及び光化学反応挙動を解明することを目的として、ゼオライト細孔内におけるアゾベンゼンとスチルベンのシスートランス光異性化挙動を比較した。スチルベン/NaY試料に254nm光及び313nm光を照射した場合には、光定常状態(PSS)におけるシス/トランス(c/t)比はそれぞれ5/95及び25/75となり、シクロヘキサン中[c/t=75/25(254nm);95/5(313nm)]とは著しく異なる値を与えることを見出して既に報告した(Chem.Lett.,1998,843)。本年度の研究では、スチルベンよりもより強い吸着が起こることが期待されるアゾベンゼンをNaY,Naモルでナイト,NaZSM-5に吸着させた後、励起波長を変えてPSSにおけるc/t比を決定した。NaYを用いた場合には、熱反応によるシス体からトランス体への異性化を抑制すれば、初期吸着量(5-20mg/1g NaY)に関わらず、313nm光ではc/t=80/20,254nmでは20/80となり、シクロヘキサン中低濃度の場合とほぼ同様な光定常状態比を与えることを見出した。半経験的分子軌道計算(AM1)により、トランス及びシスーアゾベンゼン/Na^+錯体の最適構造を計算したところ、いずれの場合にもNa^+は窒素原子の非共有電子対に配位することが示唆された。一方トランス-スチルベンの場合には、炭素-炭素二重結合にNa^+が配位する構造が最適構造として得られた。ゼオライト細孔内金属イオンとゲスト分子との相互作用部位の違いにより、ゲスト分子の光異性化挙動に違いが生じると推定した。またNaモルでナイトを用いた場合には、313nm光照射によるPSSでのc/t比は約50/50であり、NaZSM-5細孔内に吸着されたトランス-アゾベンゼンは全くシス体に異性化しなかった。細孔内における自由空間体積も光異性化に著しい影響を及ぼすことがわかった。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] 小嶋政信: "ゼオライト超分子の光化学"光化学. 31. 173-182 (2000)
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[Publications] M.Kojima et al.: "Concentration Dependent Photodimerization of Azobenzenes in Solution"Chem.Lett.. 686-687 (2000)
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[Publications] M.Kojima et al.: "Photoisomerization of Azobenzene in Zeolite Cavities"Mol.Cryst.Liq.Cryst.. 344. 179-184 (2000)
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[Publications] M.Kojima et al.: "Charge-Density and Ring-Size Dependent Dimerization of...."Bull.Chem.Soc.Jpn.. 73. 1557-1565 (2000)