1998 Fiscal Year Annual Research Report
鎖状ブロック化合物のコンホメーション転移の圧力依存性
Project/Area Number |
10640492
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
福原 幸一 広島大学, 理学部, 助手 (90208976)
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Keywords | 超高圧赤外分光法 / ブロックオリゴマー / コンホメーション転移 |
Research Abstract |
通常オキシエチレン鎖は固体状態においてヘリックス構造をとるが、高分子量オキシエチレン繊維に張力をかけた場合などに平面ジグザグ変態をとることが報告されている。ヘリックス構造よりも平面ジグザグ変態の結晶密度が高いので、圧力によりコンホメーション転移を誘起できる可能性があるが、このような研究は行われていない。本研究では約70kbarまでの超高圧力によりオキシエチレン関連化合物の圧力誘起コンホメーション転移の観測を試みた。 圧力誘起コンホメーション転移の観測には本課題で購入したダイヤモンドアンビル超高圧赤外セルを用いた。試料の赤外吸収強度の調節と静水圧を発生させるための圧力媒体を数種テストし、フッ化カルシウムおよびヨウ化銀が本研究に適していることがわかった。圧力測定にはルビー蛍光法を採用した。 圧力誘起コンホメーション転移の研究を開始するにあたり、オキシエチレンユニット数が4以上のオリゴオキシエチレンアルキルエーテルのコンホメーションの圧力依存性を調べた。この同族体は常圧下では、アノレキル鎖は平面ジグザグでオキシエチレン鎖はヘリックス構造の結晶構造をとる。室温で徐々に加圧することによりこれらの化合物は約10kbarで結晶化したが、分子コンホメーションは常圧での構造に類似していた。また、この構造は少なくとも40kbar程度までは安定であった。いっぽう、比較的急速に加圧するとこの分子は約18kbarで結晶化するが、そのコンホメーションは通常と異なり、分子全体が完全に伸びた平面ジグザグコンホメーションをとることが明らかになった。このコンホメーションはこれまで常圧下では確認されておらず、今回初めて高圧下のコンホメーションとして確認できた。現在赤外スペクトルのS/N比を改善するために光学系の改良を行っている。
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