2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10640495
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
田中 富士雄 大阪府立大学, 総合科学部, 助教授 (60109874)
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Keywords | 熱レンズ法 / 高圧 / 無放射遷移 / 三重項収率 / 内部変換 / 項間交差 / カルボニル化合物 / アントラセン |
Research Abstract |
前年度までに、光励起分子の無放射過程を高圧下で調べるための熱レンズ装置がほぼ完成し、4000気圧までの高圧下での時間分解熱レンズ信号の測定が可能になったが、解決すべき問題点が残っていた。試料溶液に残存する酸素を減少させること、高圧下で熱レンズ信号の速い立ち上がり成分と遅い立ち上がり成分の分離が不明瞭になること、である。後者に関しては、熱レンズ信号の速い立ち上がり領域を高時間分解能で検出し、しかも長時間領域も測定できる、時間メモリーの長いデジタルオシロスコープを導入し改善された。これにより、残存酸素を減少させることは困難であったが、熱レンズ信号の測定はかなり改良された。現在までの結果では、メチルシクロヘキサン中の三重項収率が9-アセチルアントラセンでは圧力によって変化せず、9-ベンゾイルアントラセンでは圧力とともに増加していくことを見い出している。 他の芳香族カルボニル化合物の無放射遷移における内部変換の寄与を調べるために、9-ブロム-10-ベンゾイルアントラセン、9-シアノ-10-ベンゾイルアントラセン、9-ナフトイルアントラセンと1-および2-アセチルナフタレン、2-ベンゾイルナフタレン、9-アセチルフェナンスレン、1-アセチルピレンの熱レンズ測定を常圧下で行なった。上記の3種のカルボニルアントラセンでは9-ベンゾイルアントラセン同様、項間交差の他に内部変換が大きな寄与をしている。他の化合物においても、1-アセチルピレン以外は内部変換の寄与が認められた。カルボニル化合物以外についても内部変換の寄与を調べ、極性溶媒中で9,10-ジメトキシアントラセンの内部変換が起こることを見い出した。今後、高圧下の測定を行ない、内部変換のメカニズムを解明する予定である。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] F.Tanaka,T.Furuta et al.: "Fast Internal Conversion in Nonfluorescent Carbonylanthracenes"Chemistry Letters. 768-769 (2000)
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[Publications] M.Okamoto,T.Takagi,F.Tanaka et al.: "Lifetime of Singlet Oxygen (^1Δ_g ) in Liquid and Supercritical Carbon Dioxide"Chemistry Letters. 1396-1397 (2000)
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[Publications] M.Okamoto,F.Tanaka: "Kinetic Study of the Radiationless Deactivation of Singlet Oxygen (^1Δ_g) in Liquid Solution under High Pressure"Physical Chemistry and Chemical Physics. Vol.2. 5571-5577 (2000)
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[Publications] M.Okamoto,O.Wada,F.Tanaka et al.: "Fluorescence Quenching by Oxygen of 9,10-Dimethylanthracene in Liquid and Supercritical Carbon Dioxide"Journal of Physical Chemistry A. Vol.105,No.3. 566-572 (2001)