1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10640498
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
山田 康洋 東京理科大学, 理学部, 助教授 (20251407)
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Keywords | 希土類 / 溶媒和 / 包接 / クラスター / 水素結合 / ジオキサン / セリウム / アセチルアセトン |
Research Abstract |
希土類元素と溶媒分子の混合クラスターの生成部の製作を行った。当初、イメージ炉による金属の加熱・蒸発を考えていたが、この方法では真空装置の窓材の高温対策やクラスターの熱分解対策などの問題が生じることが判明したので、設計変更を行い、小型の抵抗加熱型の炉を用いることにした。希土類元素を用いた場合のピックアップは未だ成功していないが、予備的に行ったベンゼンクラスターによるヨウ素のピックアップには成功している。 これと並行して溶媒クラスターの研究を進めた。パルスバルブによる断熱膨張で生成したジオキサン水混合クラスターイオンでは(C_4H_8O_2)_3-H_3O^+のクラスターが特異的に安定であり、オキソニウムイオンを核としてジオキサン3分子が水素結合した構造が推定される。さらにサイズの大きいクラスターでは、(C_4H_8O_2)_<3+n>-H_3O^+-(H_2O)_nが特異的に安定であることから(C_4H_8O_2)-(H_2O)が水素結合によって付加・連結していくことが示唆された。また、同様な実験をテトラヒドロピランとテトラヒドロフランについて行ったが、このような水分子を仲立ちとする水素結合のネットワークを組まないことが分かった。 また、希土類元素の包接体あるいは溶媒和を直接分光的に測定することを目的に、低温マトリックス単離法による測定を行った。希土類元素の有機物との結合を解釈するために有機金属化合物の光分解の研究を行った。化合物としてはテトラキス(アセチルアセトナト)セリウム(IV)を対象とし、低温マトリックス中での分子内電荷移動遷移による光還元反応をしらべた。孤立分子の光分解によりアセチルアセトンがマトリックス中に捕らえられ、赤外分光法からケト型のものが主に生成することが分かった。また、光還元によって直接生成するアセチルアセトンラジカルの赤外吸収スペクトルを測定することができた。
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