1998 Fiscal Year Annual Research Report
官能基の逐字変換反応による選択的含硫黄複素環化合物の合成研究
Project/Area Number |
10640509
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
西尾 建彦 筑波大学, 化学系, 教授 (70089811)
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Keywords | ω-ヒドロキシアミド / ω-ケトアミド / ローソン試薬 / チオネーション / チオエナミド / メルカプトアミド / 含硫黄複素環化合物 |
Research Abstract |
ローソン試薬[2,4-Bis(p-methoxyphenyl)-1,3,2,4-dithiaphosphetane-2,4-disulfide(LR)]はカルボニル基をチオカルボニル基に変換する優れたチオネーション試薬としてよく知られている。我々はアルコールをLRと反応させると効率良く相当するチオールが生成するアルコールのチオールへの直接変換反応を見いだした(J.Chem.Soc., Chem.Commun.,1989,205;J.Chem.Soc.,Perkin Trans.1,1993,1113)。従って。同一分子内にヒドロキシル基、アミド基やカルボニル基などの官能基を含む化合物とLRを反応させると一段階で含硫黄複素環化合物の合成が可能であると考え二官能基化合物、ω-ヒドロキシ-、またはω-ケト-アミド化合物とLRの反応を検討した。 1. ω-ヒドロキシアミド化合物とLRの反応 ω-ヒド口キシアミド(1)とLRのトルエン溶液を加熱還流するとメチレン鎖、nの数によってチオエナミド(2)、メルカプトアミド(3)、および含硫黄複素環化合物、イミノチオフェン(4)、ジチオラクトン(5,6)が生成した。 2. ω-ケトアミド化合物とLRの反応 ω-ケトアミド(7)と当量のLRをトルエン中、加熱還流するとケトアミド(8)、ピロール誘導体(9)アミノチオフェン(10)、およびチインチオン(11)が二官能基を結合する炭素鎖によってそれぞれ生成した。 さらに生成物の反応機構に関しても考察した。以上の反応は含硫黄複素環化合物の新規、かつ簡便な合成法として有用な方法となる。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] 西尾 建彦: "Sulfur-Containing Heterocycles Derived by Reaction of ω-Keto Amides with Lawesson′s Reagent" Helv.Chim.Acta. 81. 1207-1214 (1998)
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[Publications] 西尾 建彦: "Photoaddition of N-acylbenzoxazole-2-thiones to alkenes" J.Chem.Soc.,Perkin Trans.1. 1007-1008 (1998)
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[Publications] 西尾 建彦: "[4+2]Cycloaddition of 2(1H)-Pyazinones and 1,2,4-Triazolinone-3,5-diones" J.Heterocycl.Chem.35. 655-658 (1998)
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[Publications] 中山、秋山、杉原、西尾: "Synthesis and Unique Properties of 4,8-Bis[bis(diethylamino)methylene]-1,2,3,5,6,7-hexaselenacyclooctane" J.Am.Chem.Soc.120. 10027-10031 (1998)