1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10640517
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
立光 斉 名古屋工業大学, 工学部, 教授 (70101277)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
迫 克也 名古屋工業大学, 工学部, 講師 (90235234)
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Keywords | 分子素子 / スイッチング機能 / ピリドフェナジン / 配化還元電位 / 導線 / TTF / 金属配位子 |
Research Abstract |
本研究は導電機能にスイッチング機能を付与した新しい機能性分子素子および金属の新しい触媒機能を開発することを目的として行ったものである。初年度に検討した非対称型ジベンゾTTF誘導体では極端な難溶性のために生成物の分離,精製が困難となり,次段階への合成への障害となった。この問題を解決するには溶解度の向上が急務であった。そこで新たに検討した化合物は金属に配位することのできるピリドフェナジンおよびビピリジル系であり,溶解度も若干ではあるが改善された。その結果,これまでに種々の置換基を有する誘導体を合成することができた。各化合物の構造は各種スペクトルにより確認した。電気化学的性質をサイクリックボルタンメトリー(CV)により酸化還元電位を測定したところ,金属の配位部位に与える酸化電位は置換基が電子供与性の場合にのみ高くなり,電子吸引性の場合には変化が見られなかった。このことは電子吸引性の置換基の場合,置換基効果がフェナジン骨格に組み込まれた窒素原子の孤立電子対からの電子移動が優先するために,配位部位からの電子移動が起こりにくいことを示唆している。したがって,スイッチング機能の発現には電子供与性置換基の導入が不可欠であることが分かった。次にスイッチング機能を付与するために導線の開発に着手し,ピリドフェナジンに臭素およびヨウ素置換基を導入した。さらにアセチレン導線の接続を検討した結果,ヨウ素置換体でのみ成功した。さらにこの導線の有効性を検討するためにアセチレン共役系導線の末端にTTF分子を組み入れた化合物の合成を行った。現在その構造を確認中であるが,電子スペクトルでは共役系の拡張を示唆している。さらに同時に分子スイッチを介在させた機能性分子の合成が進行中である。
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