2000 Fiscal Year Annual Research Report
分子性混合(貴)金属反応場上での新規炭素-炭素結合生成反応の開拓
Project/Area Number |
10640549
|
Research Institution | Graduate School of Science, Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
松坂 裕之 東京都立大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (50221586)
|
Keywords | ルテニウム / ロジウム / 混合金属クラスター / 金属-金属結合 |
Research Abstract |
反応性の異なる異種金属原子を分子内の隣接した位置に有する混合金属多核錯体は、単核錯体や1種類の金属原子のみから成る多核錯体とは異なる特異的な反応性が期待される。本年度においてはCp^*Ru(CO)_2Cl(1;Cp^*=η^5-C_5Me_5)と[PPN][Rh(CO)_4](2;PPN^+=(Ph_3P)_2N^+)との反応により新規なRuRh混合金属クラスター骨格の構築を行った。得られた新規クラスターは全てX線解析により構造の詳細を明らかにした。まず1を2と反応させると、Ru-Rh異種金属間結合が一挙に2つ形成された鎖状3核構造を有する新規混合金属3核クラスター(Cp^*Ru)_2RhCl(CO)_6(3)がほぼ定量的に得られることを見いだした。次いで3の化学反応性を検討した結果、0.5当量のMe_3NO・2H_2Oの共存下、1の脱離を伴う2分子の3のカップリング反応が進行し、異種金属間結合がさらに伸長した混合金属5核クラスター(Cp^*Ru)_3Rh_2Cl(CO)_9(4)がやはりほぼ定量的に生成した。本反応は、単核錯体同士から異種金属間結合が連続的に伸長し、3核クラスター3を経て5核クラスター4が生成するという、クラスター骨格構築反応としてはきわめて特異な例である。また、多核化補助配位子をもたない鎖状5核構造が選択的に形成される点も興味深い。さらに、3の3核サイト上への有機基質のとりこみが可能であるかについて検討し、CNBu^tによるCOの置換反応が別々のルテニウム原子上で進行し、対応する1置換体(Cp^*Ru)_2RhCl(CO)_5(CNBu^t)(5)、2置換体(Cp^*Ru)_2RhCl(CO)_4(CNBu^t)_2(6)が得られること、アセトニトリル中AgPF_6で3を処理すると、ロジウム上にアセトニトリルが配位したカチオン性錯体(Cp^*Ru)_2Rh(MeCN)Cl(CO)_6(7・PF_6)が得られることも見いだした。これらの結果は、3核骨格を保持したまま3の多核サイト上に基質を取りこむことが可能であることを示唆しており、今後3上での種々の有機分子の活性化と反応性について興味がもたれる。 以上本研究では、異種金属間結合の連続的伸長反応という、金属-金属結合生成反応としてきわめて特異な反応を見いだし、一連の新規RuRh混合金属クラスターを合成するとともにそれらの構造と反応性について明らかにすることができた。
|
Research Products
(5 results)
-
[Publications] Hiroyuki Matsuzaka et al.: "Preparation, Structure, and Reactvities of Amido-Bridged Dinuclear Rhodium (III) and Rhodium (II) Complexes"Organometalics. 19. 216-218 (2000)
-
[Publications] Youichi Ishii et al.: "Reactions of Cationic dirhodium and diiridium Complexes [Cp^*M(μ-Cl)(μ-SPri)2MCp^*][OTf](M=Rh, Ir) with Terminal Alkynes."J.Organomet.Chem.. 599. 221-231 (2000)
-
[Publications] Hiroyuki Matsuzaka et al.: "Synthesis and Molecular Structure of the Amido-Bridged Dinuclear Rhodium Complex"Mol.Cryst.Liq.Cryst. 342. 1-6 (2000)
-
[Publications] Tomohiko Ishii et al.: "First Syntheses of Cocrystallites Consisting of anti-Formed Metal Octaethylporphyrins with Fullerene C60"J.Chem.Soc.,Dalton Trans.. 4407-4412 (2000)
-
[Publications] Hiroyuki Matsuzaka et al.: "Synthesis and Characterization of the Dinuclear η1:η6-μ2-Aryl alkynyl Ruthenium Complex."J.Organomet.Chem.. (in press).