1999 Fiscal Year Annual Research Report
核現象をプローブとした金属フラーレンの物理的・化学的安定性に関する研究
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10640550
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Research Institution | TOKYO METOROPOLITAN UNIVERSITY |
Principal Investigator |
末木 啓介 東京都立大学, 理学研究科, 助手 (90187609)
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Keywords | 金属フラーレン / 中性子放射化 / 放射線同位体 / M@C_<82> / HPLC / ホットアトム効果 |
Research Abstract |
金属フラーレンを中性子放射化を起こす核反応中に原子核の高励起状態が生じる。この時放出されるエネルギーによるホットアトム現象で選択的に金属だけが励起してその金属フラーレンの変化を追跡することを目的として研究を行った。 1.YbとGd元素は放射化によっていくつかの観測可能な放射性同位体が生成する。これらは化学的には全く同一とみなされるが中性子捕獲に際しての反応のQ値が大きく異なり、この違いはホットアトム効果の反跳に違いを与える。従って、同位体比を放射比によって生成する量と比較することによって金属原子の反跳の影響が分かる。Yb@C_<82>,Yb@C_<84>,Gd@C_<82>についてYbは^<169>Yb/^<175>YbをGdは^<153>Gd/^<161>Gd(Tb)について放射化後にHPLC溶出して元の位置に確認された成分の同位体比を求めそれぞれ0.76±0.06,0.76±0.05,0.76±0.07と値を得た。反跳エネルギーの分布をシミュレーション計算によって求めそこから求めた同位体比から金属とフラーレンケージの物理的安定性は27-29eVのエネルギーに閾値があることが分かった。 2.LaからLuまでの8種類の金属を含む金属フラーレンを合成して、中性子放射化を行いHPLC挙動を検討した。この方法では溶解やHPLC展開の化学操作が含まれる元素の金属フラーレンに対して同様に行われるので比較が容易になるはずである。まず、2段階のHPLC展開によるM@C_<82>の単離過程について放射化をクルードで行った場合と単離後に放射化した場合の割合を求めた。これによって、先に求めた物理的な影響とガンマ線などの放射線照射の影響が求まる。生き残り率は元素にほとんど影響されず20%となり、物理的影響で考えられる率の半分になった。これは立教原子炉中でのガンマ線の影響が50%程になることが示された。個々の内包金属による化学的安定性の差は今研究では明らかにならなかった。
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[Publications] K.Sueki et al.: "A C_<82> Carbon Cage Stable toward two Different Oxidation States of Endohedral Metal Atoms"J. Phys. Chem.. B103. 1390-1392 (1999)
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[Publications] H.Nakahara et al.: "Nuclear reactions and redionuclides in the study of fullerenes"J. Redio anal. Nucl. Chem. 243. 169-179 (2000)
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[Publications] K.Akiyama et al.: "New fullerenes of a group IV element Hf metallofulleres"Chem. Phys. Lett.. 317. 490-496 (2000)