1999 Fiscal Year Annual Research Report
超高速時間分解振動分光法を用いた金属微粒子表面上での光化学反応の研究
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10640570
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Research Institution | The Graduate University for Advanced Studies |
Principal Investigator |
渡邊 一也 総合研究大学院大学, 先導科学研究科, 助手 (30300718)
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Keywords | 光刺激脱離 / 銀 / コヒーレントフォノン |
Research Abstract |
1.超高真空中での固体表面光誘起反応機構の解明 (1)固体表面からの希ガス原子の光誘起脱離現象は、固体表面上の光誘起反応の最も単純なモデルとして基礎的観点から重要と考えられる現象である。シリコン清浄表面上に吸着したキセノン原子について、近赤外〜紫外光の照射により起きる脱離現象に対し、表面フォノンからのエネルギー移動によってキセノン間の衝突により脱離する成分を見出し、キセノン間衝突の時間スケールが10ナノ秒以下であることを見出した。またキセノンの表面被覆率が高くなるとともに、光刺激脱離の機構が表面フォノンからのエネルギー移動によるものから、シリコン基板からの未緩和電子の電荷移動による脱離に切り替わることを明らかにした。 (2)銀単結晶表面上の吸着酸素の光反応:表面の化学吸着原子の光刺激脱離はこれまでほとんど報告がなく、近紫外光照射による銀表面からの原子状吸着酸素の消失反応は興味深い現象であるがこれまでその機構が不明であった。注意深く単結晶表面の清浄化を行った結果から、この反応は清浄表面では著しく抑制されることを見いだし、また、エチレン分子のイオン化打ち込みによる反応の促進から、この反応が銀固体表面近傍の微量な炭素原子の存在によって引き起こされていることを明らかにした。 2.超短パルスレーザーによる時間分解振動分光 パルス幅約20fsの超短パルスレーザー光を用い、化合物半導体InAs固体中に光励起によって生成した格子振動をレーザー光の第2高調波の変調信号を観測することで実時間観測した。光励起で生成した電子・正孔により表面近傍の空間電荷層電場の遮蔽が100fs程度の時定数で起こり、それに伴い縦光学格子振動が励起されることを見いだした。
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[Publications] Kazuya WATANABE: "Photo-stimulated desorption of rare gas atoms induced by UV-NIR photons at a semiconductor surface"Surface Science Letters. 446. L134-L139 (2000)
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[Publications] Hideyuki OHTAKE: "Enhanced THz radiation from femtosecond laser pulse irradiated InAs clean surface"Japanese Journal of Applied Physics. 38・10B. L1186-L1187 (1999)