1998 Fiscal Year Annual Research Report
アミン類との選択的相互作用を利用する光誘起カルボニル化合物変換
Project/Area Number |
10640575
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
長谷川 英悦 新潟大学, 理学部, 助教授 (60201711)
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Keywords | 光誘起電子移動 / アミンカチオンラジカル / カルボニルアニオンラジカル / イオンラジカル対 / 還元的分子変換 |
Research Abstract |
本研究課題名は、"アミン類との選択的相互作用を利用する光誘起カルボニル化合物変換"であり、カルボニル化合物の一電子還元ラジカル転位反応のための高選択的光誘起電子移動反応系の開発を目的とする。平成10年度は、選定したモデル反応基質と種々のアミン類との光反応を検討し、その結果と考察を基に新規な電子供与体の設計・合成を行うための情報収集を主目的に研究を実施した。作業仮説として、光反応系へ適用するアミン類をそのカチオンラジカルの性質に基づき、カチオン脱離型(タイプ1)、水素供与型(タイプ2)、水素引抜型(タイプ3)の3つのタイプに分類した。それぞれの代表としてN-トリメチルシリルメチル-N,N-ジエチルアミン(TMSA)、1,3-ジメチル-2-フェニルベンズイミダゾリン(DMPBI)、1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(DABCO)を選定した。これらのアミンと種々のブロモメチル置換芳香族環状ケトンの光反応を検討したところ、アミンの種類に依存して介在するラジカル中間体の反応経路選択性が顕著な影響を受けるという結果を得た。これは上記仮説の正当性を立証するものと考える。さらに詳細な機構的検討(溶媒効果、重水素標識実験など)により、アミンカチオンラジカルの反応選択性に対する顕著な溶媒効果が見いだされた。また、長波長部に吸収を持たないブロモメチル置換脂肋族環状ケトンに対しては、電子供与基置換縮合芳香族炭化水素と上記タイプ2アミンとの複合系を用いる光増感反応条件を適用することにより、既存法に比べて遜色のない結果を得ることに成功した。一方、本光反応系の評価を目的にヨウ化サマリウム(II)を用いる同反応基質の還元反応を実施した。その結果、反応基質選択性と生成物収率の観点から、本光反応法とヨウ化サマリウム(II)法は相補的な手法であることが判明した。
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Research Products
(1 results)