2000 Fiscal Year Annual Research Report
アミン類との選択的相互作用を利用する光誘起カルボニル化合物変換
Project/Area Number |
10640575
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Research Institution | NIIGATA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
長谷川 英悦 新潟大学, 理学部, 助教授 (60201711)
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Keywords | 光誘起電子移動 / アミンカチオンラジカル / カルボニルアニオンラジカル / イオンラジカル対 / 還元的分子変換 |
Research Abstract |
本研究課題名は,"アミン類との選択的相互作用を利用する光誘起カルボニル化合物変換"であり,カルボニル化合物の一電子還元-ラジカル転位反応のための高選択的光誘起電子移動反応系の開発を目的とする。平成12年度は,1,3-ジメチル-2-フェニルベンズイミダゾリン(DMPBI)および類縁体を用いる高効率・高選択的光誘起分子変換法の開発を目指し,特にDMPBIの回収・再利用法および長波長光利用光還元反応の検討を行った。具体的反応としては,有機合成上重要なエポキシケトンからヒドロキシケトンへの変換を選定した。その結果,DMPBI-酢酸系の利用により好収率で目的物への変換が達成された。さらに,従来の反応条件では不可能であったDMPBI酸化体塩の単離に成功した。次に,可視光吸収が可能な1,6-ビスジメチルアミノピレンを用いる光増感(光触媒)反応およびDMPBIの2位のフェニル基をナフタレンやアントラセンに置換したより長波長光吸収が可能な類縁体を用いる光反応においても,プロトン供与体として酢酸を用いることにより脂肪族エポキシケトンの還元的分子変換が可能となった。さらに,本光反応系へ適用可能な新規反応基質探索を目的に,ヨウ化サマリウム(II)を用いる種々化合物の還元反応を実施した。その結果,カルボニル基の1電子還元で生じるケチルラジカルの新規な求核反応性を示す化合物が発見された。今後,これらの反応基質とDMPBIとの光誘起電子移動反応の検討に興味がもたれる。有機化合物の光誘起電子移動反応の中で光還元は最も基本的な反応であるが,今後はより精密な反応制御が可能なシステムの構築が目標となり,それはDMPBIおよびその類縁体を用いる光誘起電子移動反応により実現可能と考える。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Eietsu Hasegawa: "Reaction of ethyl 2-haloethyl-1-tetralone-2-carboxylate and samarium diiodide : first example of intramolecular O-alkylation of samarium ketyl radical…‥"Tetrahedron Lett.. 41・33. 6447-6450 (2000)
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[Publications] Eietsu Hasegawa: "1,3-Dimethyl-2-phenylbenzimidazoline (DMPBI)-acetic acid : an effective reagent system for photoinduced reductive transformation of α,β-epoxy ketones…‥"Synthesis. (発表予定). (2001)