1998 Fiscal Year Annual Research Report
新規不斉素子C3キラルトリオールの合成と、その不斉合成への応用
Project/Area Number |
10640578
|
Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
安孫子 淳 京都工芸繊維大学, 工芸科学研究科, 助教授 (30184203)
|
Keywords | ダブルアルドール反応 / ボロンアルドール反応 / カルボン酸エステル / 不斉合成 / キラルトリオール / C3対称 / グリニア反応 |
Research Abstract |
申請者はカルボン酸エステルのポロンアルドール反応の研究から、過剰のボロントリフレートの存在下キラル酢酸エステルが二度のアルドール反応を起こしジオール体を生成するという新反応(ダブルアルドール反応)を見出した。反応条件を詳細に検討した結果、2.5当量のボロントリフレートを用いてエノール化したキラルエステルにアルデヒドを-78度で注意深く加えることにより、95%以上の選択率でビスアルドール体を得ることができた。さらに、キラルエステルの構造を種々検討した結果、ベンズアルデヒド、プロパナール、イソブチルアルデヒド等代表的なアルデヒドから、6〜10:1程度の立体選択性でキラル型ビスアルドールを合成することができた。この際可能な4種の立体異性体のうち主にキラル型の2種が生成した。これらのキラル型ビスアルドールから、ジオール部をアセトニドで保護した後、LiAIH4で還元して不斉補助基をはずしキラル1級アルコールを合成した。このアルコールをPDC酸化して得たアルデヒドに対してTHF中グリニア反応で3個目のアルキル基を導入した。この際、いずれの場合も立体選択性は高かった(>20:1)。しかし、イソプロピルグリニアでは還元反応が競争した(付加:還元=2:1)。イソプロペニルグリニアやイソプロピルリチウムでは還元は抑えられたが立体選択性は低かった(1〜5:1)。アセトニドを酸加水分解で除去して得たキラルトリオールは、1H及び13CNMRで特徴的な対称性を示したことからC3型対称であることがわかった。本法はC3キラル型トリオールの初めての実用的な合成法である。次年度には、C3キラル型トリオールの不斉素子としての利用に注力して研究を行う。
|