1998 Fiscal Year Annual Research Report
レーザー光音響法による溶液中の超微粒子の生成・成長過程のその場観察
Project/Area Number |
10640581
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
関根 勉 東北大学, 理学研究科, 助教授 (20154651)
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Keywords | 光音響法 / 金コロイド / ポリスチレン微粒子 / テクネチウム コロイド |
Research Abstract |
本研究では、溶液中のコロイド粒子や超微粒子をその場観察する手法としてレーザー光音響法を新たに導入し、粒子の種類(物質)、サイズ、濃度による情報を詳しく検討することにより、その場観察による超微粒子の生成・成長過程を解明することを目的とする。今年度は、音響シグナル検出部の改良を行うとともに、単分散ポリスチレン微粒子および金コロイドを対象として基礎的な検討を行った。コロイド粒子から発する光音響シグナルを解析した結果、その強度は溶液中に存在する粒子の数密度と1粒子あたりの光吸収断面積の積に比例していることがわかった。この関係は、ポリスチレン微粒子(粒径はミクロン前後)および金コロイド(粒径はナノメートルオーダー)のいずれの場合においても共通して保たれ、光吸収により発生する音響シグナル強度の定式化への第一歩を踏み出した。また、金コロイド分散溶液は塩化金酸をクエン酸により還元して調製したが、その際、ナノメートルオーダーの微粒子が数十分の間に次第に成長して来る様子が観察された。それに伴って変化する光音響シグナル強度を、粒子サイズの関数である光吸収断面積と粒子数密度を用いて定量的に表わすことができた。これは、溶液中のコロイド粒子の成長に関して、光音響法による初めての動的観察例である。ここで得られた関係をもとに、放射性元素テクネチウムのコロイドの成長過程観察に光音響法を適用した。その結果、粒子が時間とともに徐々に大きくなる様子が観測された。また、この成長は小さな粒子どうしの衝突過程によって進行していることが明らかとなり、これを理論的に解析した。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] T.Sekine: "Laser Induced Photoacomtic Spectroscopy Applied to a Study in Colloid Formation Processes" Radiochim. Acta. 82. 135-139 (1998)
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[Publications] S.Naito: "Formation of Tc (IV) Colloids and Coagulation Processes" Radiochim. Acta. 82. 129-132 (1998)