1999 Fiscal Year Annual Research Report
イオン対固相抽出の設計と環境水中の微量成分分析への応用
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10640585
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Research Institution | Toyama University |
Principal Investigator |
田口 茂 富山大学, 理学部, 教授 (80089838)
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Keywords | 膜捕集 / メンブランフィルター / 固相抽出 / イオン対抽出 / 環境分析 / ヒ素 / 界面活性剤 / 農薬 |
Research Abstract |
膜(メンブランフィルター)を固相抽出剤とする環境水中の微量成分の濃縮,分離/定量法の開発を行い,以下の成果が得られた。 1.可溶性膜を利用する水中の微量ヒ素の濃縮/原子吸光定量法の開発 ヒ素をヘテロポリ酸陰イオンに変換して,疎水性の大きな陽イオンとのイオン会合体として膜に捕集した。膜ごと捕集物を水酸化テトラメチルアンモニウ(TMAH)に溶解して原子吸光法で測定する方法を開発した。TMAHは,再現性の点で非常に優れた溶媒であることがわかった。 2.可溶性膜を利用する銅反応性農薬の濃縮/原子吸光定量法の開発 ジチオカーバメイト系の農薬が銅と錯体を形成し,膜に捕集されることを見出した。この錯体を膜ごと有機溶媒に溶解し,銅を原子吸光法で測定することによって,ppbレベルのこれらの農薬を定量できた。これは原子吸光法で農薬を測定する従来にない新しい発想の手法である。 3.光透過膜を利用する環境水中の陽イオン界面活性剤の濃縮/吸光光度定量法の開発 陽イオン界面活性剤を陰イオン色素とのイオン会合体として光透過性の大きい膜に捕集して,そのまま吸光度を測定する方法を開発した。これは,操作が迅速・簡便のみならず,溶出や溶解で用いる溶媒を全く必要としない新しい手法である。 4.膜捕集と蛍光X線法を組み合わせた環境水中の陰イオン界面活性剤の定量法の開発 環境水中の硫黄を含む陰イオン界面活性剤を陽イオン界面活性剤とのイオン会合体として膜に捕集し,硫黄の蛍光X線測定によって,陰イオン界面活性剤を定量する方法を開発した。これは,有害な溶媒を全く必要としない新しい方法である。
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[Publications] N.Hata: "Membrane solubilization with tetramethylammoniumhydroxide for the preconcentration and electrothermal atomic absorption spectrometric determination of trace amount of arsenic in water"Analyst. 124巻1号. 23-26 (1999)
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[Publications] S.Taguchi: "Electrothermal atomic absorption spectrophotometric determination of copper-reactive pesticides in water after preconcentration with a solvent soluble-membrane filter"Analytica Sciences. 15巻11号. 1149-1152 (1999)
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[Publications] S.Taguchi: "A transparent membrane filter for the solid-phase spectrophotometric determination of trace cationic surfactant in water"Analyst. 124巻12号. 1489-1492 (1999)