1999 Fiscal Year Annual Research Report
双型水晶発振子の溶液中における振動数特性と分析化学への応用
Project/Area Number |
10640588
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
野村 俊明 信州大学, 理学部, 教授 (00020660)
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Keywords | 双型水晶発振子 / 電極分離型水晶発振子 / 振動数特性 / 金属イオンの定量 / 銅(II) / キトサン |
Research Abstract |
双型水晶発振子は、同一フローセル内で2枚の水晶振動子を別々に発振させるもの、すなわち、2つの電極分離型水晶発振子を組み合わせたものであり、一方の水晶振動子に定量しようとする物質のみが付着するようにして、両者の振動数差を求めることにより、液性等などの変化による振動数変化を相殺し、定量物質の付着のみによる振動数変化量を求めるものである。 水晶振動子に機能性膜(キトサン)を塗布すると液性等に対する振動数特性が変化するので、同一の振動数特性を示す物質を他方の水晶振動子に塗布することが重要である。検討の結果、酢酸セルロースがキトサンと同一の振動数特性を示すことがわかった。そこで、機能性膜としてキトサン膜を塗布し、他方の水晶振動子には酢酸セルロース膜を塗布して、キトサン膜への金属イオンの付着による振動数変化を求めたところ、銅(II)が他の金属イオンに比べて多くの振動数変化を示した。種々の測定条件の中で、緩衝溶液の濃度とpHとを制御することにより、銅(II)が選択的に付着し、銅(II)の濃度と付着による振動数変化量との間に直線関係を得ることができた。 一般に、水晶振動子上に物質が付着すると震動数が減少するが、溶液中で、キトサンを塗布した水晶振動子は金属イオンの付着により震動数が増加した。このような現象は、すでに報告している付着定量法を検討した際にもたびたび見られていた。この原因を追求するのに多くの時間を費やしたが、その理由も解明しつつある。今後は、付着による振動数増加の原因をより詳しく検討するとともに、双型水晶発振子を用いる金属イオンのより高感度の定量法を確立する。
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Research Products
(1 results)