1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10640593
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
大境 利行 神戸大学, 理学部, 助教授 (00194118)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
蛯名 邦禎 神戸大学, 発達科学部, 助教授 (50151999)
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Keywords | イオンの選択的水和 / 有機溶媒 / 油水界面イオン移動 / NMR / 化学シフト / 回転相関時間 / アルキルアンモニウムイオン / ニトロベンゼン |
Research Abstract |
有機溶媒中でのイオンの選択的水和反応は,油水界面イオン移動を支配する重要な要素の一つであり,また,タンパク質内部の疎水的環境中の水の動態を理解する上でも重要である.本研究では,^1H-NMR法ならびに溶媒抽出法(+カールフィッシャー水分量測定)によって各種イオンのニトロベンゼン(NB)中の選択的水和反応を研究した. ^1H-NMR法では,無機陰イオン(Cl^-,Br^-,I^-,ClO_4^-,NO_3^-,SCN^-)の重水素置換NB中での選択的水和反応を,水プロトンの化学シフトと縦緩和時間の測定によって検討した.化学シフトからは,この選択的水和反応が逐次反応であることが明らかになり,さらに緩和時間からはイオンに水和した水分子の回転相関時間が,粘度の比較的高いNB中ではpsのオーダーであることが分かった. 一方,溶媒抽出法からは第1,第2,第3級アルキルアンモニウムイオンのNB中の水和数が,それぞれ1.64,1.04,0.66であり,アルキル基の立体障害が重要であることが示された.さらに,同法を各種カルボン酸イオンに適用したところ,カルボン酸のNB中の水和数はその化学構造にあまり依存せず,約2.6であるという予備的結果が得られた. なお,上記の実験的研究に基づいて,親水性のイオンの溶媒間移行ギブス自由エネルギーには有機溶媒中の水が重要な役割を担うことが明確となった.そこで,従来のボルン型の静電理論とは違い,このような水の重要な役割を考慮に入れた新しいイオン移動エネルギーの理論を提案することができた.
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[Publications] S.Sawada: "Hydrophobicity of Oligopeptides:A Voltammetric Study of Transfer of Dipeptides Facilitated by Dibenzo-18-crown-6 at the Nitrobenzene/Water Interface"Phys.Chem.Chem.Phys.. 1(20). 4819-4825 (1999)
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[Publications] A.Ogata: "Selective Hydration of Alkylammonium Ions in Nitrobenzene"Phys.Chem.Chem.Phys.. 2(2). 247-251 (2000)