1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10640594
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
姫野 貞之 神戸大学, 理学部, 教授 (30031363)
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Keywords | モリブデン酸イオン / ポリオキソメタレート錯体 / 分離分析化学 |
Research Abstract |
モリブデン酸イオンと金属イオンとの反応により生成するポリオキソメタレート錯体は、従来のクラウンエーテルやその他の有機試薬などによる反応と異なり、酸素原子を共有することにより結合を生じるため、結合しうる酸素原子の数に応じて、3配位、4配位、6配位などと結合次数が変化し、それに応じてヘテロイオン対モリブデンの組成比が変化するとともに生成する錯体の構造性が変化する。また構造性の変化に伴って錯体の持つ化学的性質が変化し、電気分析化学的に検出可能な化学種、色調の変化に伴い分光学的検出が可能な化学種など多種多様な錯体種が生成する。さらには、錯体の電荷や酸解離定数に応じて各種クロマトグラフィーによる分別可能性が大きく変化するため、生成条件、生成機構の解明が分析化学的応用に重要となる。まず、イオン移動ボルタンメトリーにより、Mo(VI)-P(V)-V(V)およびV(IV)系において三元錯体の生成機構を明らかにするという成果を得た。さらに、Mo(VI)とSe(IV)、Te(IV)、P(V)、As(V)、Ga(III)などとの反応の解析から、ヘテロイオンンの性質と生成するポリオキソメタレート錯体の組成比、構造性および化学的性質を系統化するとともに、それぞれの錯体種の生成に最適な溶液条件(水溶液系、水-有機混合溶媒系、水-有機溶媒二層界面系)との関連性を明らかにすることができた。 これらの基礎的研究の成果を基に、現有のキャピラリー電気泳動法、ボルタンメトリー装置を用いて分析へ応用を試みた。まず、同一金属イオンの状態分析への応用例として、V(V)およびV(IV)のボルタンメトリックな同時定量、Cr(VI)およびCr(III)のキャピラリー電気泳動法による同時定量、さらにこれまで報告例の無いケギン型錯体生成に基づくGa(III)のボルタンメトリック定量法を確立することができた。
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[Publications] S.Himeno: "Simultaneous Determination of Chromium(VI) and Chromium(III) by Capillary Electrophoresis" Anal.Sci.14. 369-373 (1998)
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[Publications] S.Himeno: "Voltammetric Determination of Vanadium(V) and Vanadium(IV) through the Formation of a 12-Molybdovanadate(V) Complex" Anal.Sci.14. 681-685 (1998)
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[Publications] S.Himeno: "A Voltammetric Study on the Formation of V(V)-and V(IV)-substituted molybdophosphate(V) Complexes in Agueous Solution" J.Electroanal.Chem.451. 203-209 (1998)
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[Publications] S.Himeno: "Formation and Conversion of Yellow Heteropoly Complexesin a Mo(VI)-Se(IV),Te(IV) System" Zuorg.Chim.Acta. 281. 214-220 (1998)
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[Publications] S.Himeno: "Formation of a Kessin-type 12-Molybdogallute(III) Complex in Agueous-Organic Media and the Application to the Voltammetric" Anal.Sci.15. 35-40 (1999)
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[Publications] S.Himeno: "Formation and Conversion of Molybdophosphate and-arsenate Complexes in Aqueous Solution" Zuorg.Chim.Acta. 284. 237-245 (1999)