2000 Fiscal Year Annual Research Report
ニホンザルのポピュレーション抑制期に現れる性成熟の遅延に生態学的研究
Project/Area Number |
10640614
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Research Institution | KYOTO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
森 明雄 京都大学, 霊長類研究所, 助教授 (50027504)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡辺 邦夫 京都大学, 霊長類研究所, 助教授 (60158623)
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Keywords | オスの生長 / 移籍 / ヒトリザル / 生長遅延 / 季節性 / 土地利用 |
Research Abstract |
思春期を迎えたオスは、出自群を出て別の群れに入ったり、ヒトリザルになったりする。幸島の主群を出た思春期個体は、島の中に棲む小群、マキグループに加わって行動する。昨年度は、このマキグループの採食行動を調べた。昨年よく利用された採食樹が、今年度も同じようによく結実し利用されたかどうかを調べた。昨年度の秋中心的に利用されたクスノキは、本年度は全く利用されなかった。また、昨年よく利用されたムベの利用も今年度はほとんどなかった。ハゼノキは、今年度もよく利用されたが、昨年度よく利用された木とは別の木が利用されていた。カラスザンショウは、昨年より少し時期が遅れて利用された。代わって今年度はアラカシの実が豊作で、これが秋の主要な食物となった。冬になり、1月の後半になっても、地上にはアラカシの実が多数落ちていた。しかし、この時期には、アラカシの落果をそれほど集中的には利用せず、葉をよく採食していた。 マークした採食樹の位置をGPSで測定した。これは、採食樹間の移動距離や移動スピードを算出するために行った。ただ、森の樹木の下では、それほど正確な値はでなかった。 現在、幸島の過去の出席表と個体の体重データをコンピュータのデータとして入力を始めている。これを用いて、思春期オスの群れからの離脱は、実年齢が、それともその個体の体重か、どちらが決めているのかを検討しつつある。
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