1998 Fiscal Year Annual Research Report
病原体と宿主の軍拡共進化の理論的研究-分子進化・個体群動態・性の進化への影響
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10640619
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| Research Institution | Kyushu University |
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Principal Investigator |
佐々木 顕 九州大学, 理学部, 助教授 (90211937)
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| Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
原口 佳大 日本学術振興会, 特別研究員
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| Keywords | 抵抗性と病原性の共進化 / 抵抗性品種依存型防除 / 遺伝子=遺伝子相互作用 / 赤の女王仮説 / ボリオ根絶計画 / 強毒復帰突然変異 / ワクチン摂取計画 |
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| Research Abstract |
○ 遺伝子=遺伝子相互作用のもとての宿主抵抗性と病原性ビルレンスの共進化。抵抗性と病原性がそれぞれ多遺伝子座遺伝子型で決まるときに、宿主抵抗性の程度と病原体のビルレンスの程度がどのように時間変化するかについて理論的な検討を行った。主要な結果を列挙する。(1)病原性のコストがある程度以上大きく、抵抗性遺伝子座の数が多いとき、多数の抵抗性遺伝子型を混合させた集団において病原性の進化を押さえられることが示された。これは、イネやコムギと寄生性菌類との関係などにおいて、宿主抵抗性の導入が必ずしも病原体のビルレンスの増大をもたらすとは限らないことを示しており、抵抗性品種依存型の病原体防除が可能であることと結論できる。(2)しかし、病原性のコストが小さいとき、宿主抵抗性と病原体ビルレンスは軍拡競争的に上昇したのちにもとに戻るという共進化サイクルを示す。この時抵抗性遺伝子の多様な組み合わせの遺伝子型頻度が複雑な振動を起こすこと、病原体の遺伝子型頻度も対応して振動することを示し、将来の流行予測の困難さが系本来の性質であることを示した。(3)この共進化サイクルのもとで、宿主の有性生殖と遺伝的組み換えが有利になることが示された。これは「性の進化の赤の女王仮説」を現実的な(非対称な)遺伝子=遺伝子相互作用のもとで拡張したものである。
○ 病原性復帰突然変異を考慮したポリオウイルス根絶計画-生ワクチン株からの一定の割合で病原性復帰株が生じる過程を取り入れて、どのようなワクチン接種計画がウイルス根絶確率を最大にするかを予測するために、確率過程モデルで解析した。たとえ全世界的にポリオによる発症者ゼロの年が何年も続いたとしても、生ワクチン接種を停止すると、経口接種によるポリオウイルス保持者が十分減少するまえに、感受性個体が増加して流行の閾値を越える可能性が高く、強毒株再流行の危険が高いことが示された。特に停止前のワクチン接種率が十分高くない地域があれば、そこから強毒復帰株の流行が始まる確率が特に高い。
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[Publications] Ellner,S.: "Speed ofinvasion in lattice population models: pair-edge approximation." Journal of Mathematical Biology. 36. 469-484 (1998)
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[Publications] Sasaki,A.: "Density dependence and unpedictable selection in a heterogeneous environment: Compromise and polymorphism in the ESS reaction norm." Ebolution. (in press). (1999)
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[Publications] Sasaki,A.: "A model for the coevolution of resistance and virulence in coupled host-parasitoid interactions." Proceedings of the Royal Society of London B. (in press). (1999)
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[Publications] 佐々木顕: "性はなぜ-あるのか?-病原体との共進化理論の展開" 遺伝. 52(9). 15-19 (1998)
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[Publications] 佐々木顕: "種の離散的詰め込み" 理数科学. 6. 61-68 (1998)
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[Publications] Read,A.F.: "What can evoiutionary biology contribute to understanding virulence? pp.205-215 in S.Stearns,ed.Evolution in Health and Disease." Oxford University Press, Oxford, (1999)
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[Publications] Sasaki,A.: "Virulence-resistance coevolution geneーforーgene systems in U.Diekmann and H.Metz, eds.Virulence Management: A Theoretical Approach." Springer in press, (1999)
