1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10640623
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
奥山 英登志 北海道大学, 大学院地球環境科学研究科, 助教授 (90125295)
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Keywords | GPIアンカータンパク質 / 細胞壁 / シグナル伝達 / ホスファターゼ / 皮層細胞 |
Research Abstract |
ヒメウキクサにおいてGPl-アンカータンパク質として合成されたリン酸飢餓誘導性のpurple acid phosphatase(PAP)が、細胞膜には一時的に存在するだけで、そのほとんどは細胞壁に蓄積されることから、GPl-アンカーはタンパク質を細胞壁に輸送するためのシグナルとして機能すること、細胞壁に局在するPAPの一部は高濃度の塩処理やSDS処理によって溶出されないことから、GPl-アンカーを介して細胞壁に共有結合をしていることが示唆された。GPl-アンカーPAPが細胞膜から細胞壁へと移行する際には、タンパク質をアンカーから切り放すGPl-アンカー特異的ホスホリパーゼCの関与が必須と考えられるが、in vitro系での本酵素活性は検出できなかった。他方、細胞膜から遊離したPAPが細胞壁に共有結合するのに必要と考えられるトランスアミナーゼの活性も、まだ特定するに至っていない。 一方、ヒメウキクサをリン酸飢餓条件にさらしたとき、根が顕著に徒長するという形態的変化を示すことがわかっている。この徒長した根を免疫組織染色することによって、GPl-アンカーPAPが根皮層の最外層の細胞の細胞壁に選択的に蓄積することが明らかとなった。加えて、リン酸飢餓下のヒメウキクサにおいては、細胞膜プロトンATPaseとそれに依存したプロトンポンプの活性増大が確認されており、リン酸飢餓条件下においては、リン酸を得るために、有機リン酸から無機リン酸の切り出し・取り込みにいたるシステムが機能していることが示唆された。
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Research Products
(1 results)