2000 Fiscal Year Annual Research Report
シアノバクテリア(ラン藻)の光適応現象にかかわる遺伝子の探索と応答機構の解析
Project/Area Number |
10640626
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
池内 昌彦 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 助教授 (20159601)
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Keywords | シアノバクテリア / ラン藻 / 光合成 / 強光応答 / 呼吸 / 活性酸素 |
Research Abstract |
(1)シアノバクテリアにおける光環境への応答機構に関与する一群の新規遺伝子(pisJ1オペロン)を同定した。Synechocystisが示す走光性は、光源へ向かう正の走光性と、光源から逃げる負の走光性があるが、pilJ1オぺロンの遺伝子群は正の走光性に必要で、その破壊株は適度な光強度下でも負の走光性を示した。とくに、PisJ1は、植物のフィトクロムと相同性があり、正の走光性の光受容体と考えられる。さらに、PisJ1のC末には、大腸菌などの走化性の調節のためのメチル化を受けるシグナル伝達部位(MCP部位)がある。大腸菌などでは、このMCP部位から、CheA→CheYへとリン酸化のシグナル伝達が鞭毛の運動を調節していることが知られているが、PisLはCheA、PisG,PisHはCheYのホモログと考えられる。したがって、シアノバクテリアの走光性は、フィトクロム様の光受容体から、PisL→PisG,PisHのリン酸化を経たシグナル伝達によって調節される機構があることが強く示唆された。なお、PisJ1の色素結合モチーフは、これまで知られているフィトクロム様色素タンパク質のモチーフとは非常に低い相同性しかなく、新しいタイプのフィトクロム様光受容体である可能性が高い。 (2)シアノバクテリアの強光応答における遺伝子の発現プロフィールの時間変化をDNAマイクロアレイを用いて解析した。これによってはじめて、アンテナや光化学系反応中心の全遺伝子の発現の特徴的な応答、呼吸系の多重遺伝子の応答、多数の未知ORFの応答を明らかにすることができた。
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[Publications] Yoshihara,S. et.al.: "Novel putative photoreceptor and regulatory genes required for the positive..."Plant Cell Physiol.. 41. 1299-1304 (2000)
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[Publications] Yoshihara,S.et al.: "Mutational analysis of genes involved in pilus structure, motility and..."Plant Cell Physiol.. 42. 63-73 (2001)
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[Publications] Satoh,S. et.al.: "A.Chlorophyll b in expressed in cyanobacteria functions as a light-..."J.Biol.Chem.. 276. 4293-4297 (2001)
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[Publications] Katoh,H.and Ikeuchi,M.: "Targeted disruption of psbX and biochemical characterization of..."Plant Cell Physiol.. 42. 179-188 (2001)
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[Publications] Kamei,A. et al.: "A eukaryotic-type protein kinase SpkA is required for the normal motility of..."J.Bacteriol.. 183. 1505-1510 (2001)
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[Publications] Hihara,Y. et al.: "DNA microarray analysis of cyanobacterial gene expression during..."Plant Cell. 印刷中. (2001)
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[Publications] 池内昌彦: "植物のゲノム研究プロトコール(分担)"秀潤社. 245 (2001)