1998 Fiscal Year Annual Research Report
高等植物における核マトリックスの構造と機能に関する研究
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10640643
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Research Institution | Akita Prefectural College of Agriculture |
Principal Investigator |
井上 正保 秋田県立農業短期大学, 生物工学研究所, 教授 (90176446)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上田 健治 秋田県立農業短期大学, 生物工学研究所, 助手 (80279504)
小野 道之 秋田県立農業短期大学, 生物工学研究所, 助教授 (50201405)
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Keywords | 核マトリックス / 内部核マトリックス / モノクローン抗体 / 小胞体 / Protein Disulfide Isomerase |
Research Abstract |
核マトリックスの内部繊維系を認識する1種のモノクローン抗体を用いて、内部核マトリックス構成タンパク質の遺伝子を7種分離した。これらの遺伝子はすべて新規遺伝子であった。これら7種の内の1種は全塩基配列解析から新規のPDI (Protein DisulfideIsomerase)であることが推測された。全長2,060-bpで分子量64.4kDaのタンパク質をコードし、2つのthioredoxin様領域(CGMC)と小胞体結合モチーフ(KDEL)を持っていた。既知のPDIやPDI様タンパク質とのデータベース上の比較では、27〜40%のホモロジーがあり、このタンパク質はPDIグループの中で特異的な存在であった。この遺伝子を発現ベクターにつなぎ、大腸菌内で融合タンパク質を得た。このタンパク質の活性を調べたところ、ウシから分離したPDIよりも少し活性は低いが、明らかに強いPDI活性を持っていた。さらに得られたPDIに対するモノクローン抗体を作成し、この抗体を用いて免疫電顕で細胞を調べた結果、核と小胞体にのみ金粒子の結合が認められた。蛍光抗体法では細胞質よりも核により強く反応が認められた。また、各器官および組織内での、このタンパク質と遺伝子の発現を調べた。イムノブロッティングでのタンパク質の発現は、不定胚、芽と若い葉には強い反応が認められたが、側根や主根ではかすかな反応のみで、展開葉では陰性の結果であった。ノーザンブロッティングによる遺伝子の発現では、不定胚、芽、若い葉や側根では強く、ついで主根で多く、展開葉ではわずかな量であった。 これらの結果はPlant Physiologyに投稿中である。
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