1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10640646
|
Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
野川 宏幸 千葉大学, 理学部, 助教授 (40143250)
|
Keywords | マウス胚 / 唾液腺 / 分枝形成 / 成長因子 / 細胞増殖パターン |
Research Abstract |
マウス胚唾液腺上皮を基底膜物質(マトリゲル)で覆い,培養液にEGFを加えるとlobule形成が誘導され,一方,培養液にFGF-7を加えるとlobule形成は抑制され,stalkの伸長のみが促進されるという当研究で開発された実験系を用いて研究をおこない,平成10年度は以下の2つの結果を得た。 1.EGFとFGF-7を同時に加えると,分枝形成パターンがその濃度比に依存して変化することを明らかにし,正常発生で観察される分枝パターンが再現されるEGFとFGF-7の濃度を決定した。正常マウス胚唾液腺でのEGFとFGF-7のmRNAの発現が報告されており,今回の結果は,正常の分枝形成はEGFとFGF-7の微妙,なバランスによって制御されている可能性を強く示唆している。 2.EGF培養した上皮とFGF-7培養した上皮について,DNA合成細胞をBrdUで標識し,ホールマウント免疫染色をおこない,分枝パターンと細胞増殖パターンとの因果関係を調べた。EGF培養した上皮でcleft形成直前のもの,浅いcleftが形成されているもの,どちらにおいても,DNA合成細胞の分布は一様で,cleft形成位置と相関した分布の偏りは認められなかった。一方,FGF-7培養した上皮は,stalkの伸長が観察される初期の段階から,先端部から基部にかけてDNA合成細胞数が次第に減少していくパターンが観察され,かなり伸長した時にはDNA合成細胞は先端部に局在していた。以上の結果から,分枝形成過程前半のcleft形成は細胞増殖パターンと因果関係は無く,後半のstalk伸長は細胞増殖パターンと因果関係が有ると結論した。 以上の結果は,“EGF-dependent lobule formation and FGF7-dependent stalk elongation in branching morphogenius of mouse salivry epithelium in vitro"という題目で学術雑誌に投稿中である。
|