1998 Fiscal Year Annual Research Report
担子菌ヒトヨタケの形態形成に関する分子生物学的研究
Project/Area Number |
10640652
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
鎌田 尭 岡山大学, 理学部, 教授 (40033360)
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Keywords | 担子菌 / Coprinus cinereus / 交配型遺伝子 / 性 / 形態形成 |
Research Abstract |
担子菌ヒトヨタケの有性過程における形態形成は、交配型遺伝子AとBにより支配されている。B遺伝子は二核化のための核移動を,A遺伝子はクランプ結合を伴う二核の共役分裂を制御している。A,Bが互いに異なる一核菌糸どうしの交配によりA,B遺伝子制御下の経路が共にスイッチ・オンになると,二核菌糸が形成,維持される。二核菌糸は栄養成長の後,子実体を発生する。これまでに,A遺伝子はホメオドメインをもつ転写因子をコードし,B遺伝子はフェロモンおよびフェロモン・リセプターをコードしていることがわかっている。しかし、A,B遺伝子の下流については未知である。そこで本研究では、A,Bの下流で働く、遺伝子を同定しその働きを解明することを目的として,以下1.〜3.の実験を行った。1.Aの経路がオンになっても二核菌糸を形成しなくなった突然変異体CM1(clm1)を遺伝分析し,clm1が第IV染色体に座位することを明らかにした。次に,第IV染色体特異的コスミドライブラリーを作成し,形質転換実験によりclm1変異を相補するクローンを検索した。その結果,コスミドクローン3A3を同定することができた。2.B遺伝子制御下の過程,つまり二核菌糸形成のための核移動に関する突然変異のREMI(restrictionenzyme mediated integration)法による誘発実験を行い,核移動が阻止される突然変異体を14株分離した。3.子実体の光形態形成に異常を示すREMI突然変異株R1428(dst1)について遺伝分析をしたところ,dst1遺伝子がREMIに用いたプラスミドにtaggingされていることがわかった。そこで,marker rescue実験を行い,dst1遺伝子の一部を含むと思われるDNA断片を得た。
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