2000 Fiscal Year Annual Research Report
担子菌ヒトヨタケの形態形成に関する分子生物学的研究
Project/Area Number |
10640652
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
鎌田 尭 岡山大学, 理学部, 教授 (40033360)
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Keywords | 担子菌 / Coprinus cinereus / 交配型遺伝子 / 性 / 形態形成 |
Research Abstract |
担子菌ヒトヨタケの有性過程における形態形成は、交配型遺伝子AとBにより支配されている。B遺伝子は二核化のための核移動を,A遺伝子はクランプ結合を伴う二核の共役分裂を制御している。A,Bが互いに異なる一核菌糸の交配によりA,B支配下の経路が共に活性化されると,二核菌糸が形成され,二核菌糸は一定の環境条件下で子実体を形成する。これまでに,A遺伝子はホメオドメインをもつ転写因子をコードし,B遺伝子はフェロモンおよびそのリセプターをコードしていることがわかっている。しかし,A,Bの下流については不明である。 本研究では,A,Bの下流で働く遺伝子を同定しその働きを解明することを目的として,以下1.〜3.の実験を行った。 1.昨年度,クランプ結合形成に係わるclp1遺伝子をクローニングし,この遺伝子の転写がA遺伝子の制御下にあることを示した。本年度は,clp1遺伝子のプロモーター領域を解析し,開始コドンから218-201bp上流の配列,GATG-11nt spacing-ACAが転写調節に係わっていることを示唆した。 2.二核化のための核移動が阻止される突然変異株NUM8の原因遺伝子num1をクローニングし,この遺伝子が217個のアミノ酸残基からなる新規のタンパク質をコードしていることを明らかにした。また,num1遺伝子の転写はB遺伝子の制御下にあることを示した。 3.昨年度,子実体の光形態形成に異常を示すREMI突然変異株R1428から原因遺伝子dst1のクローニングを試みたが,dst1遺伝子の同定には至らなかった。そこで,R1428からのmarker rescue実験を再度行い,4つの候補クローンを得た。現在,これらのクローンについて解析中である。
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Research Products
(1 results)