1999 Fiscal Year Annual Research Report
昆虫機械受容器の内部雑音源の正体と微弱信号の検出に果す役割
Project/Area Number |
10640658
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Research Institution | HOKKAIDO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
下澤 楯夫 北海道大学, 電子科学研究所, 教授 (10091464)
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Keywords | 機械受容器 / コオロギ / 気流感覚毛 / 感覚閾値 / エネルギー感度 / 熱雑音 / 微弱信号 / 揺らぎ解析 |
Research Abstract |
本研究によって、2つのコオロギ気流感覚細胞からの同時記録による閾値正弦波刺激に対する発火時刻の揺らぎの解析と、感覚細胞に渡される機械エネルギーを気流感覚毛の長さから求め、1)コオロギの気流感覚細胞は閾値付近の刺激に対する活動電位の発射タイミングに数ミリ秒程度の揺らぎを持つこと、2)この揺らぎは細胞毎に無相関で各感覚細胞の内部雑音であること、3)この内部雑音源のエネルギーレベルは常温(300°K)における分子運動論的熱擾乱エネルギーkT(【approximately equal】4×10^<-21>Joul)付近であること、4)感覚細胞のエネルギー閾値は内部雑音よりわずか上に設定されており、もし雑音が共存しなければ検出できない微弱な刺激を雑音のエネルギーを借りて検出するStochastic resonanceの状態にあること、が明らかとなった。 しかし、中枢介在神経がこれらの熱雑音の無相関性を利用して外界の微弱信号の抽出に役立てていること、の証明は達成できなかった。原因は、中枢介在神経の入力突起部への細胞内電極の刺入の成功率が低く、閾値刺激に対する後シナプス集合電位波形の統計分散値から微弱信号に対する信号対雑音比の改善つまり情報量の増大を、十分な精度で定量化できなかったことによる。
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[Publications] 下澤楯夫: "神経系は熱雑音をも利用する"生物物理. 229(印刷中). (2000)
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[Publications] 下澤楯夫: "熱雑音を手なずけた昆虫の機械受容器"日本神経回路学会誌. 6(3). 155-166 (1999)
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[Publications] 下澤楯夫: "昆虫気流感覚毛の機械設計の計測と解析(特別講演)"日本機械学会〔No.98-8I機械力学・計測制御講演論文集. A. 1-4 (1998)
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[Publications] T.Shimozawa: "Structural scaling and functional design of the cercal wind-receptor hairs of cricket"J. Comp. Physiol. A.. 183. 171-186 (1998)
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[Publications] T.Kumagai: "Mobilities of the cercal wind-receptor hairs of the cricket, Gryllus bimaculatus"J. Comp. Physiol. A. 183. 7-21 (1998)
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[Publications] T.Kumagai: "The shape of wind-receptor hairs of the cricket and cockroach"J. Comp. Physiol. A. 183. 187-192 (1998)