1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10640663
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Research Institution | Nara Women's University |
Principal Investigator |
保 智己 奈良女子大学, 理学部, 助教授 (60188448)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鮫島 道和 浜松医科大学, 医学部, 助教授 (80135251)
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Keywords | 松果体 / 光感覚 / 立体構築 / 光内分泌器官 / 円口類 / 光受容細胞 / 神経節細胞 / 蛍光多重標識 |
Research Abstract |
昨年度確立した蛍光3重標識法を用いて、カワヤツメ松果体における内分泌性光受容細胞の錐体型と桿体型視物質の局在を解析した。内分泌性細胞の指標にはセロトニンを、錐体型と桿体型の指標にはそれぞれアイオドプシンとロドプシンを用いた。その結果、2重標識法で示唆されていた多くの内分泌性松果体細胞は錐体型であることが確認された。さらにこれら3者(セロトニン、アイオドプシン、ロドプシン)の詳細な分布を調べた結果から錐体型光受容細胞は松果体終末嚢の周辺部、松果体柄への移行部と松果体柄に多く存在することが示された。またわずかではあるがアイオドプシン陽性反応単独での存在も確認された。ロドプシン陽性反応は終末嚢腹側部全体に分布していたが、松果体柄ではほとんど見られなかった。また昨年度までの研究により、内分泌性松果体細胞が互いに結合していることは明らかにしていたが、今回抗グルタミン酸抗体によって、内分秘性松果体細胞が標識された。このことは互いに神経連絡にグルタミン酸が関与していることを示唆するものである。 神経節細胞について、細胞の形態(球形、楕円形)や大きさを指標にして分布を調べた結果、小型の神経節細胞は終未嚢の中央部に多く見られるが、大型の球形細胞はこの部位には存在せず、周辺部に存在することが明らかとなった。これまで錐体型光受容細胞の指標してはアイオドプシン以外にもビジニンが用いられてきたが、後者に対する免疫反応は細胞全体に見られることに着目し、神経節細胞との2重標識を行った。これによって初めて錐体型光受容細胞とシナプスしている神経節細胞の形態が明らかになった。この神経節細胞は球形で比較的大きな細胞であった。前述した周辺部に存在した大型・球形の細胞であると思われる。今後は典型的光受容細胞、内分泌性光受容細胞、神経節細胞の3者の神経連絡を3次元的な解析を行っていく。
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