1998 Fiscal Year Annual Research Report
センリョウ、フタリシズカ及びキビヒトリシズカの受粉機構
Project/Area Number |
10640680
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
高橋 弘 岐阜大学, 教育学部, 教授 (40021331)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山内 克典 岐阜大学, 教育学部, 教授 (30021322)
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Keywords | 受粉機構 / センリョウ / フタリシズカ / キビヒトリシズカ / 原始的被子植物 |
Research Abstract |
フタリシズカとセンリョウの受粉様式あ調査を行い、以下のことを解明した。 1. フタリシズカ (1) 花は無花被であり、雄蘂の花糸部が裸出した状態で発達する。花の成熟前は緑色の花糸部が花茎に密着していて、葯と雌蘂の花柱及び柱頭を覆い隠している。やがて、花糸部が白色に変化するとともにその先端部が花茎からやや離れていき、向軸側に隠れていた葯と花柱・柱頭部が側方から見えるようになる。この時点で柱頭は受粉可能(receptive)のように見える。その後葯が裂開し、開葯後2日目辺りから花糸と柱頭は褐色を帯びて乾燥し始め、開葯後6日目頃に雄蘂はほとんど離脱する。花蜜は分泌するようには見えない。 (2) 花にはアザミウマ、甲虫、ハナアブが訪れる。どれも花粉を採餌するときに柱頭にも触れることがあり、授粉に貢献すると考えられる。 (3) 人為的な自家受粉をした花は36.4%、昆虫を排除した無処理の花は40.3%が結実し、野外での自然受粉花の結実率は45.2%であった。従って、自家和合性があると言える。花粉/胚珠の比率は1836(SD=545)であった。 2. センリョウ (1) 花は無花被であり、雌蘂と雄蘂は露出した状態で発達する。緑色だった雄蘂が白色に変化するに伴い、柱頭が湿潤になってreceptiveになる。その後開葯し、開葯後2-8日して雄蘂が離脱する。花蜜は分泌するようには見えない。 (2) 花にはハナバチ、ハナアブ、甲虫が訪れる。どれも花粉を採餌するときに柱頭に触れることが多い。 (3) 人為的な他家受粉の結果、開葯前の花は開葯後1日目の花のほぼ2倍高い結実率を示し(それぞれ約56%と29%)、雌性先熟であることがわかった。また、人為的自家受粉実験の結果は他家受粉と同等の結実率を示し、自家和合性があることがわかった。花粉/胚珠の比率は2268(SD=753)であった。
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