1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10640686
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Research Institution | Japan Women's University |
Principal Investigator |
今市 涼子 日本女子大学, 理学部, 教授 (60112752)
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Keywords | イワタバコ科 / 異形子葉 / 一葉植物 / 形態形成 / 進化 / ウシノシタ属 / Monophyllaea / 個体発生 |
Research Abstract |
イワタバコ科ウシノシタ属のロゼット型種Streptocarpus rexiiの個体発生過程を明らかにし、昨年度に行った有茎型種S.kirkiiの結果との比較検討からロゼット型種と一葉型種の進化過程について考察した。S.rexiiの個体発生過程は、種子発芽後から異形子葉化、そして溝分裂組織が形成されるまでは、一葉型種並びに有茎型種と全く同じであった。しかし溝分裂組織の運命には大きな違いがみられた。溝分裂組織は、有茎型種では早くから普通葉と茎を作りシュートとして成長するのに対して、S.rexiiでは普通葉や茎を作ることはなく、子葉と良く似た1枚のロゼット葉を作った。ロゼット葉は子葉と良く似た発生様式を示し、細胞拡大は求基的に起こり、基部に基部分分裂組織を作った。この点、ロゼット葉は有茎型種の普通葉とは違っている。ロゼット型と一葉型は、有茎型からそれぞれ別の過程で進化したものと考えられる。 Monophyllaea singularisは花序を葉身基部ではなく、胚軸に作るという点で他のMonopyllaea種とは大きく違っている。本種の溝分裂組織は、他の種と同様の、位置と時期に形成され、大型子葉の成長とともにサイズを増したが、決して花序を分化することなかった。花序は胚軸の表層細胞群から不定的に発生した。一葉植物の溝分裂組織は活動が抑制された結果、シュートを作らず栄養成長期を欠いて直接生殖茎頂を分化してしまうと解釈される。M.singularisではさらに特殊化が進み、溝分裂組織の生殖茎頂分化という能力までが抑えられ、花序は胚軸から不定的に形成されるようになったと考えられる。
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