1998 Fiscal Year Annual Research Report
ハラフシグモ類の多様性と系統からみた東アジアのクモ類の特性と起源
Project/Area Number |
10640688
|
Research Institution | National Museum of Nature and Science,Tokyo |
Principal Investigator |
小野 展嗣 国立科学博物館, 動物研究部, 主任研究官 (50167326)
|
Keywords | 動物分類学 / 系統学 / 形態学 / 多様性 / 東アジア / 博物館 / クモ類 / ハラフシグモ科 |
Research Abstract |
1. 本研究の初年度となる平成10年度には、九州中南部において秋季に現地調査を実施し、阿蘇岳山麓や九州山地の植生のよく保存されている森林において、キムラグモ類(ハラフシグモ科)の生息環境の生態学的データをとり、多くの標本を採集した。また、本研究を遂行する上で必要な情報を入手し研究計画を熟成させるため、夏季に北九州市立自然史博物館(八幡)および立命館大学理工学部(草津)において、研究打合わせを行なった. 2. 調査で得られた標本は、国立科学博物館の施設を利用して、順次、解剖、測定などの作業を行ない、比較形態学的解析を試みた。同時に、同博物館が所蔵する、国内および、東アジア各国のクモ類の未整理標本の検討を行ない、本研究のための比較資料の作成を進めた。 3. これまで国立科学博物館に蓄積されている国内および海外調査で得られた未整理標本のなかから、もっとも緊急性を要するベトナム産のハラフシグモ科クモ類の標本について、本論にさきがけて、系統分類学的な研究を行ない、その成果を夏季に米国シカゴ市のフィールド博物館で開催された第14回国際クモ学会議において口頭発表した。また、九州のキムラグモ類(ハラフシグモ科)の多様性について、日本蜘蛛学会第30回大会において講演した。 4. ベトナムのキムラグモ類を中心に日本、中国に生息する同類の系統と生態について総合的にまとめ、「Spiders of the genus Heptathela (Araneae,Liphistildae)from Vietnam,with notes on their naturalhistory」の標題で論文原稿を作成し、Journal of Arachology誌に提出した。
|