1999 Fiscal Year Annual Research Report
ニホンザルの繁殖戦略 : とくに配偶選択の要因について
Project/Area Number |
10640691
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
大沢 秀行 京都大学, 霊長類研究所, 助教授 (60027498)
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Keywords | 交尾戦略 / 順位 / 雌の雄選好性 / 父性 / ホルモンレベル / 年令 / 雄間競争 / 育児行動 |
Research Abstract |
昨年度に続き、京都大学霊長類研究所放飼群の若桜群について、11-12月の繁殖期に週2回の早朝各2時間の観察を行った。昨年度、配偶選択の中でメスによるオス選好(female choice)影響力の強さが示されたため、メスのオスへの接近の資料を、昨年度よりさらに集中して収集した。今年度は併せて、その間のメスの行動、さらにオスの行動も可能な限り収集した。資料の分析は未だ途上であるが、今年度の資料からは、メスの選考に関しては、対象となるメスと相手(オス)の年令、順位によって大きく3種類に類型化できることが示唆された。すなわち高順位オスと成年メス、低順位成オス成年メス、若オスと若メスの三区分であった。この3区分によりオスを選考する行動とその程度が変化する傾向が見られた。 今年度は若桜群については、出産期に新たな研究を追加した。出産直後の育児行動で、主として母親のホルモンレベルと育児行動の関係を中心に研究したが、併せて他のメス達のアカンボウへの関心、父性行動有無(paternal care)も観察した、とくに父性行動については、メスによるオス選択が父性行動と関連しているかもしれないという仮説を検証する資料となろう。ただし今年度はそれを検証するほどの資料は集まらなかった。 野外での調査は、宮崎県幸島郡の直接観察を予定していたが、調査を若桜群に集中したため、今年度は、糞尿資料の収集を依頼したにとどまった。昨年度の行動資料とともに現在分析中である。
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