2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10640695
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
佐竹 隆 日本大学, 松戸歯学部, 講師 (50130513)
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Keywords | 縦断的研究 / 幼児 / 成長 / 身体発育 / 時系列解析 / 季節変動 / 個体差 / 成長勾配 |
Research Abstract |
1.前年度に引き続き、東京都内の保育園にて、三歳児、四歳児、五歳児を対象に、毎月1回、身長、体重、指極、頭囲、胸囲、肩峰幅、腸骨稜幅、皮脂厚(肩甲骨下部、上腕三頭筋部、臍部)などの身体計測を行った。計測対象保育園に十分な協力が得られる協力関係を構築することができた。縦断的研究は長期に渡るので、調査対象機関の援助を獲ることは、調査を成功させる上で非常に重要なことである。また、縦断的研究では被検者である子どもが不可抗力で計測日に欠席することも結構あり、三年間に渡り無欠席の子供の完全なデータを収集する事の困難さを感じた。長期にわたる調査においては、子どもの欠席などに対処できるよう、調査のシステムを構築して、数名の計測者にて行うことも考える余地があると思った。しかし、被験者の子ども達と計測者との良い関係を作ることも大切なので、いずれにしても毎月の計測は困難なことではある。 2.計測データは随時コンピューターに入力した。欠損値の無い個人の身長、体重、指極、骨盤副について発育曲線(現量値曲線)を描かせ、時系列解析を試みた。各形質の発育の季節変動に着目したところ、各形質の発育に季節変動を示すものが多かった。また、個人内における各形質間の季節変動の変化の様子(Seasonal Combination)は、個体変異の大きいことも伺えた。発育における、環境要因としての季節の影響は各形質により異なり、また、個体内における各形質の季節変動の関係にも個体変異がみられた。今後、季節の要因をより細かい要因に分けて考え、個体差に与える要因を解明することが課題となった。いずれにせよ、以上の様に、縦断的に幼児の発育を分析すると、実に個体変異の多いことが明らかとなり、従来より多く行われている横断的研究による結果に、縦断的研究の結果を踏まえて解釈していくことの重要性が伺えた。今後さらに解析方法について検討を加え、この貴重な資料を解析していく。 3.本研究に関し、ヒトの発育の研究などで著名なDr.Malina(Michigan State University),Dr.Bogin(Michigan University),Dr.Geithner(Gonzaga University)らと、子どもの発育の研究の課題や、解析法等について話し合う機会を持つことがで、また、相談関係が構築できた。また、子どもの縦断的発育の研究で著名なDr.Hermanussen(Germany)から、発育解析プログラムが送られてきた。今回の資料にこのプログラムも使って解析を進めたいと思っている。
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