1998 Fiscal Year Annual Research Report
バンド端変調ナノ構造非晶質半導体材料の量子効果に関する研究
Project/Area Number |
10650023
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Research Institution | Hiroshima Institute of Technology |
Principal Investigator |
森垣 和夫 広島工業大学, 工学部, 教授 (60013471)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
荻原 千聡 山口大学, 工学部, 助教授 (90233444)
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Keywords | 非晶質 / アモルファス / 半導体 / ナノ構造 / 量子効果 / バンド端変調 |
Research Abstract |
変調周期長が2.1nm-29nmの範囲のa-Si_<1-x>N_x:H変調構造膜について、量子化準位間の光学遷移を観測するために、最初に赤外分光測定系の整備を行った。セラミックヒーターからの赤外光をシリコンフィルター、ミラー等の光学系を通過させ、クライオスタットのCaF_2窓を通した後に試料にあてる。試料からの透過光を分光器を通し、そのあとHgCdTe検出器で検出する。温度を11Kに保った。また、試料には、バンド間光励起としてチョッパーでオンオフしたアルゴンイオンレーザー光をあてた。このため上記の出力はチョッパーと同じ周波数で検出される。これは、レーザー光で生成されるキャリアが量子化準位に熱平衡化し準位間の赤外光吸収をもたらした。今回は、予備的実験として、赤外吸収の感度を調べるために、アモルファスシリコンバルク膜を用いて調べた。変調構造膜への適用並びに光伝導の測定については、今後行われる。 変調構造膜の欠陥状態を調べるために、電子スピン共鳴(ESR)の測定を、変調周期長3.8nm-10nmの範囲で行った。ESR信号のg値は2.0031-2.0036の範囲で、周期長に殆ど依存しないことが分かった。この信号はバックボンドに窒素をもつシリコンダングリングボンドであると考えられる。このような結果は、そのようなダングリングボンドがバンドギャップエネルギーの最大値近傍の領域に存在し、ほぼ最小値を持つ領域では、荷電移動によってダングリングボンドは荷電して不対電子をもたないと考えることで説明される。 また、パルス光励起による時間分解ルミネッセンスの測定から、変調周期長とともに変化する寿命分布が得られた。この分布から、一重項励起子、三重項励起子、電子正孔対がこれらの再結合発光に関与していることが分かった。
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