1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10650027
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Research Institution | Kanagawa Institute of Technology |
Principal Investigator |
宇佐美 誠二 神奈川工科大学, 工学部, 教授 (40017877)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
万代 敏夫 神奈川工科大学, 工学部, 助教授 (10121229)
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Keywords | 多種イオン / 同時刻検出 / 90°偏向磁石 |
Research Abstract |
目的 表面から励起された粒子の脱離の素過程を解明するため,多種の脱離粒子を高速で同時計測する装置の開発を行った. 実施経過と得られた成果 1.真空排気系 排気系は昨年度においてほぼ完成し,今年度は排気のコンダクタンスを向上させ,新たにガス導入系を取り付けた.ターボ分子ポンプを用い,ベーキングなしで到達圧力は10^<-5> Paを実現した.将来はゲート弁を用い,直結に近い配管を用いて一層の真空改善を予定している. 2.分析部 (1)イオン源 タングステン・メッシュを円筒状に加工し,それを一回巻きのフィラメントで囲んで,130eV程度の電圧で電子衝撃し,気相粒子をイオン化した.そのイオンを300Vまで加速できる可変電源を作製した.その背後に収束レンズをもうけ,さらにビーム偏向電極をとおして,方向の制御も行った.このときのイオン検出電流は,He圧力2×10^<-4>Paにおいて電子電流10μAあたり0.7nAであった.(2)検出部 村田製作所製セラトロンEMS-6081B3個をイオンの軌道面に平行に並べて配置し,最大3種類のイオンを同時検出する設計とし,チャンネル・プレートを利用する当初の計画の前段階として,ひとまず簡易な検出素子で基本動作を検討した.セラトロンはできるだけ高感度を得るためパルス用増倍管を用いた.(3)偏向磁石 市販の小型イオンポンプに利用されている永久磁石を改造して90°偏向型の磁極を作製した.磁界の平均的な値は(1.3±0.05)×10^<-2>Tで,検出イオンは水素,水素分子,ヘリウム(または重水素分子)であった.(4)検出特性 イオンの加速電圧を変えることで検出できるイオン種も変わるが、加速電圧が約40Vのとき,それぞれのセラトロンに水素原子,水素分子,ヘリウムが検出された.セラトロンの出力信号は,サンプリング・オシロスコープによって高い時間分解で同時に記録することができる.(5)レーザー光 アブレーションを行わせるための高出力レーザーを年度内に用意できなかったが,ナノ秒の分解計測は十分に可能で,是非とも実施したい.
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