1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10650028
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Research Institution | Kanagawa Institute of Technology |
Principal Investigator |
下川 博文 神奈川工科大学, 工学部, 教授 (50144126)
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Keywords | 中性励起粒子 / 流動帯電 / 静電誘導 / 表面改質 / 接触角 |
Research Abstract |
直流プラズマを使って高分子表面の処理を行うと、高分子の帯電性が制御できることがわかっている。特に、O_2プラズマ処理を行うと、高分子-水間の接触および衝突帯電はほぼ抑制することができる。これは高分子表面に埋め込まれた酸素官能基が、界面電気二重層の形成を阻害することに起因することが明らかになっている。そこで10年度は、高分子パイプと水間の流動帯電の制御を目的として高周波プラズマ中での処理を行った。高分子材料は低密度ポリエチレンとテフロン(PTFE)である。得られた結果を以下に示す。 1 未処理の高分子パイプの流動電流は金属パイプの場合に比べて1桁大きくなる。 2 O_2プラズマ処理を行った場合には、未処理の場合に比べて流動電流はほぼ同じか20%程度大きくなる。つまり、改質の効果は顕著には現れない。 3 処理、未処理にかかわらず、0〜10m/sの範囲で流動電流は流速のほぼ二乗に比例する。 4 パイプを模擬した平板上で流動させた場合、高分子と水間の電荷交換はプラズマ処理した場合に十分に抑制されるが、噴出する水の帯電に改質の効果はみられない。 5 以上のことから、流動帯電はパイプ入り口における誘導帯電に起因することが明らかとなった。つまり、高分子-水間の流動帯電現象は、従来の電気二重層理論では説明することはできない。 得られた結果は平成11年電気学会全国大会で発表した(講演番号937)。今後は、誘導帯電を起こさないと予想される絶縁性液体の帯電制御を目標として、改質の効果を明らかにする予定である。
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