1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10650062
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
岸本 一男 筑波大学, 社会工学系, 教授 (90136127)
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Keywords | 最適立地問題 / 均衡解 / 合理的投票理論 / 小選挙区制 / 二大政党制 / 第2固有値 / 固有値問題 / 正行列 |
Research Abstract |
本年度の研究により,次の点で成果が得られた. 1. 小選挙区制では2大政党が存在する場合,第3政党の参入が組織的に阻止されるメカニズムが働くことを立地問題のモデルの枠組みで,数理的に示すことができた.この事実は小選挙区制と2大政党制の関係を数理的に明らかにした初めてのケースである. 2. 2大政党制での2つの政党の主張がわずかに異なる要因として,2つの政党の主張に曖昧さがあり,有権者が誤差を持って認識してしまうことも考えられることをモデルによって示した.この場合,素朴な直観と異なり,有権者からの政党の政策への認識の誤差が余り大きすぎてはならないことが示されている. 3. 関連する数理的解析として,正行列が単調増加な成分を持つベクトルを単調増加な成分を持つベクトルに写像するなら,単調増加な成分を持つ固有ベクトルが存在し,その固有値は第2固有値であることを証明した.この結果は更に,半順序関係を保つ場合に拡張される.これは,第2固有値の存在を証明するための一般的な結果としては初めてのものである. 4. 前項の結果は関数空間に拡張可能であることを示した.但し,空間としてどの程度まで広い空間まで拡張しうるかは依然未解決である. その他,以下の結果を得た. 1. 分散変動時系列データとして代表的なGARCH,SVモデルにおいて,その残差の独立性の検定は,パラメータ推定における数値計算上の特性のために,場合によっては正しい検定になり得ないことを数値実験により確認した.
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Research Products
(1 results)