1999 Fiscal Year Annual Research Report
相変態を利用した傾斜機能材料の熱応力緩和と多目的最適材料設計のための数理解析
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10650067
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Research Institution | IWATE UNIVERSITY |
Principal Investigator |
菅野 良弘 岩手大学, 工学部, 教授 (90089160)
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Keywords | 傾斜機能材料 / 相変態 / 熱応力緩和 / 不均質熱伝導論 / 不均質熱弾性論 / 材料組成設計 / 冷却プロセス設計 |
Research Abstract |
前年度は、FGMの構成材料であるセラミックス(部分安定化ジルコニア:PSZ)の相変態による体積膨張を利用して、FGMを構成する2つの材料の線膨張係数のミスマッチに起因する熱応力を緩和させるための解析が必要と考え、使用時の熱応力緩和に適したセラミックリッチ型の組成分布に対して合成後の冷却過程における温度解析と相変態を考慮した熱応力解析の方法を提案した(これを1999年の日本機械学会材料力学部門講演会 11月9〜11日、京都大にて講演)。この解析から傾斜機能平板の100%セラミックス側の引張熱応力は、相変態を考えない場合、曲げ強度を大きく越えたが、相変態を利用することにより40%以上緩和されることがわかった。 今年度は、まず、菅野らによる区分的線形不均質法にて解析された非定常温度場の解析解と菅野が提案した厚さ方向に任意の不均質性を有する不均質平板の熱応力式に変態ひずみ項を付加した式に、遺伝的アルゴリズムを併用して使用時の熱応力を最小化する最適組成分布を探索した。探索された材料組成分布は見方によれば線形分布から少しセラミックプア型に傾いた分布であった。 そして、この組成分布に対する使用時の熱応力分布は定常値を除いてセラミックリッチ型の組成分布に対する応力分布と大差はなかった。次に、この組成分布に対して合成後の冷却過程の温度分布の解析解を板両表面の温度が任意に時間変化する場合(任意の冷却過程を受ける場合)について導出し、相変態を考慮した熱応力解析を行った結果、遺伝的アルゴリズムにより探索した組成分布に対して合成後の冷却過程の熱応力は、セラミックリッチ型の場合とは大きく異なりセラミックス100%側でわずかに曲げ強度を越える程度であり、冷却速度を制御し、適当な相変態を起こさせることにより曲げ強度以下に緩和させることができた。(この成果は日本機械学会2000年度年次大会講演会、8月1〜4日、名古屋にて講演予定)球や円筒に関しても使用時の熱応力緩和に最適な組成分布を遺伝的アルゴリズムによって探索することは終えており、合成後の熱応力緩和のために最適な冷却過程を探索するための温度場の解析解の導出にかかっている。
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Research Products
(1 results)