1999 Fiscal Year Annual Research Report
インテリジェントマテリアルのマイクロメカニックス解析
Project/Area Number |
10650087
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Research Institution | KYOTO INSTITUTE OF TECHNOLOGY |
Principal Investigator |
荒木 栄敏 京都工芸繊維大学, 工芸学部・機械システム工学科, 助教授 (60222741)
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Keywords | マイクロメカニックス / インテリジェントマテリアル / 介在物 / 固有ひずみ / じん性 / 剛性 / 形状記憶 |
Research Abstract |
本年度においては,ガラス転移点を挟んでその剛性が100倍程度変化するという特性を有するポリウレタン系形状記憶ポリマー粒子を用いたインテリジェントマテリアルの剛性の解析を行った.解析に際しては,種々のガラス転移点を有する形状記憶ポリマー粒子が樹脂母材中に多数混在する状態を想定し,粒子のガラス転移点分布を確率密度関数で与えた.このポリマー粒子を等価式を用いて介在物に置き換える際に,ガラス転移点以上の温度では粒子がゴム状態となるために体積変化が生じない点を考慮して,偏差成分のみを考慮した等価式を導出するとともに,これを用いてゴム状態の粒子の等価固有ひずみを求めることで不均質物に置き換えた.また,ゴム状態からガラス状態への遷移状態とガラス状態における粒子に対しては通常の等価式を用いて介在物に置き換えた.得られたモデルに対して,具体的にガラス転移点分布を与えて解析することで,温度変化によるで剛性の変化を求めた.その結果,ガラス転移点分布が2モード分布の場合には,全粒子がゴム状態あるいはガラス状態である場合以外に,2つのガラス転移点の間の温度で巨視的弾性係数が一定となる領域が存在することがわかった.また,その値は2モード分布の確率密度の比を変えることで自在に制御できることもわかった.さらに,ガラス転移点分布が一様分布の場合においては,巨視的弾性係数は温度の増加とともに減少し,その減少割合は一様分布の分布幅により設計できることがわかった.本解析結果により,所定の温度で所定の剛性を有するようなインテリジェントマテリアルが設計可能であることが明らかとなった.
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