1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10650094
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
元木 信弥 大阪市立大学, 工学部, 助教授 (40221626)
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Keywords | 損傷力学 / 複合材料 / 非破壊評価 / 構成式 / 超音波板波 |
Research Abstract |
内部の損傷層の繊維配向角度が異なる種々の積層構成のFRPを用いて静的な引張試験を行い、き裂損傷を発生させてその発達過程を詳細に観察した。変分原理を用いて応力分布を計算し、損傷層の平均応力-ひずみ曲線を求めたところ、損傷層は塑性理論で言う加工軟化材料と類似の挙動を示すことが明らかになった。その結果、これらの結果と塑性理論を結びつけて、基本的な構成の場合の損傷の発達則を構築した。特に任意の積層構成をもつ積層板の損傷の発達則の構築に不可欠な初期損傷面を決定した。その後この損傷面を用いて、き裂損傷層に対してはこの塑性理論に基づいた損傷構成式を用い、非損傷層に対しては通常の弾性構成式を用いて両者を積層板理論によって結合した。これにより、任意の積層構成を持つ積層板のき裂損傷に対して適用可能な構成式を構築した。 また、曲げ負荷によるき裂損傷に対してもこの考え方が適用できることを理論・実験の両面から示した。また、超音波伝播の基礎となる損傷後の、種々の弾性係数の変化を予測する理論を構築し、実験との非常に良い一致を得た。これによって、板波超音波を用いた損傷の非破壊評価への見通しが明確になった。 超音波による損傷の同定に関しては、精密な超音波音速測定装置を導入して、測定の容易な粒子分散複合材料の、熱損傷、静的負荷による損傷の同定と音響異方性の検討を行った。熱的負荷に対しては、き裂損傷ではなく樹脂の熱劣化損傷が起こるが、超音波を用いれば音速変化として明確に検知できること、および静的負荷の場合の損傷は、粒子-マトリックス界面き裂が支配的であり、超音波速度の異方性として現れ、これも明確に検知できることを明らかにした。
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[Publications] 元木信弥、元山貴晴 他: "粒子分散複合材料における界面き裂損傷の超音波による評価" 第7回複合材料界面シンポジウム講演論文集. 発表予定. (1999)
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[Publications] 元木信弥、元山貴晴 他: "超音波による粒子分散複合材料の損傷評価" 第28回FRPシンポジウム講演論文集. 発表予定. (1999)
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[Publications] 和田明浩、元木信弥 他: "損傷力学的手法による複合材料積層板の弾性率低下の予測" 材料. 48,5 印刷中. (1999)
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[Publications] A.Wada,S.Motogi et al.,: "Damage Mechanics Formulation of Transverse Cracking of Crossply Laminates in Bending" Proc.1st Asian-Australasian Conf.Composite Materials. Vol.II. 731-1-731-4 (1998)
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[Publications] S.Motogi,T.Fukuda: "Thermal Fatigue Mechanism of Random Particulate Composites" Proc.1st Asian-Australasian Conf.Composite Materials. Vol.II. 726-1-726-2 (1998)
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[Publications] A.Wada,S.Motogi et al.,: "Damage Mechanics Formulation of Crack Evolution Process in Composite Laminates under Plane Stress Condition" J.Reinforced Plastics and Composites. in printing. (1999)