2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10650094
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
元木 信弥 大阪市立大学, 工学部, 教授 (40221626)
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Keywords | 損傷 / 複合材料 / 超音波による非破壊評価 / 損傷力学 / 構成式 / 板波 / 粒子分散複合材料 / 界面はく離損傷 |
Research Abstract |
ガラス微粒子を不飽和ポリエステルに混合した、粒子分散型複合材料の損傷発達とその超音波による非破壊評価について検討した。得られた結論は以下のようにまとめられる。 ・ガラス粒子に、通常射出成形などで使われる離型剤で表面処理を行い、粒子-マトリックス樹脂間の層間はく離強度をコントロールできる。離型剤を水で希釈した溶液の濃度に応じて、複合材料の応力-ひすみ関係に非線型性が現れる点(損傷の開始点)が変化することからこのことがわかる。 ・微量の離型剤を樹脂に直接混合しても、上と同様の効果が得られる。これは離型剤が樹脂に溶解せず、表面や界面に移動・凝集するためであると考えられる。 ・粒子-マトリックス界面のはく離損傷を、電子顕微鏡によって直接観察した。その結果、損傷は予想通り負荷応力軸に対して基本的には垂直の(球面の一部)はく離損傷であった。粒子破壊、マトリックスのき裂などは損傷の段階ではほとんど認められない。 ・損傷発達の途中で、試験片を除荷し横波超音波を入射して音速の異方性を調べた。板厚方向に伝播する横波で偏向方向を種々変化させて音速を測定した結果、応力軸方向に偏向した横波がもっとも遅く、応力に垂直方向に偏向した横波がもっとも速いことが分かった。これらから、横波音速の低下量から損傷の絶対量、偏向方向による音速の違い(音響異方性)から損傷の方向を予測することができることがわかった。 また、繊維強化複合材料の直交積層板の90度層に横き裂損傷を導入して、板波(Lamb波)を励起し板波の音速に対する損傷の影響を調べた。AEの装置を用いて、150kHz程度の比較的低周波の板波のうち、最初のSOモードが励起される。板波は亀裂密度の増加とともに遅くなり、その関係は著者らが以前に明らかにした、FRP積層板の損傷理論によって理解できることが分かった。
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[Publications] S.Motogi & T.Motoyama: "Modelling and Ultrasonic Evaluation of Interfacial Cracking Damage in Random Particulate Composites"Proc.2nd Asian-Australasian Conf.Composite Materials (ACCM-2000). Vol.II. 1179-1184 (2000)
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[Publications] 和田明浩,元木信弥: "FRP直交積層板の曲げによる裂損傷発達過程のモデル化"材料. Vol.49,No.5. 494-501 (2000)
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[Publications] 和田明浩,元木信弥: "FRP積層板の超音波伝播特性に与えるマトリックスき裂の影響"第30回FRPシンポジウム講演論文集. 63-66 (2001)