1998 Fiscal Year Annual Research Report
イオンミキシング蒸着法による窒化物耐食性薄膜の信頼性向上に関する電気化学的研究
Project/Area Number |
10650095
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Research Institution | Himeji Institute of Technology |
Principal Investigator |
内田 仁 姫路工業大学, 工学部, 教授 (30047633)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山下 正人 姫路工業大学, 工学部, 助手 (60291960)
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Keywords | 窒化物薄膜 / イオンミキシング蒸着法 / ピンホール欠陥 / 分極曲線 |
Research Abstract |
耐食性ドライコーティング膜の一種であるTiNは、美麗で硬度が高く、耐摩耗性は勿論のこと膜自体の耐食性も極めて優れている。しかし、膜内には様々な微小欠陥が存在し、特にピンホールと呼ばれる貫通型欠陥は環境遮蔽効果が少なく,素地金属の耐食性改善にはまだ多くの課題が残されている。最近では、このピンホール欠陥に注目した電気化学的な検討が幾つかなされているが、当然のことながら、成膜条件を制御してピンホール欠陥を極力少なくすることは重要である。このためには、膜内のピンホール欠陥を迅速かつ定量的に評価できる手法の確立が望まれる。 そこで本研究では、2種類のイオン源系(2〜20kV、30〜80mA)を備えた表面改質専用のイオンミキシング蒸着装置を用い、まず電子ビーム加熱より純チタンを蒸発させながら窒素のイオンビームでステンレス鋼基板表面に照射することによってTiN薄膜を作製した。次いで、膜表面および断面のモルフォロジーや密着性を詳しく調べると共に、現在、電気化学的な手法によるピンホール欠陥の評価を行っている。これまで得られた結果をまとめると、次のようになる。 1) イオンミキシング蒸着装置の排気特性、イオンビーム特性や基板温度特性などの基本特性を詳しく調べると共に、TiN薄膜を作製するための最適成膜条件を明らかにした。すなわち、加速電圧2kV、アーク電圧80Vの成膜条件で膜質と密着性の優れたTiN薄膜を作製できる。 2) 得られたTiN薄膜はNaCl構造をとり、膜厚にほとんど依存せず優先配向が<111>方位である。膜表面にはいずれも微小欠陥が認められるが極めて平坦であり、膜断面については柱状組織の様相を呈する。 3) TiN被覆材の臨界不働態化電流密度は膜厚の増加と共に減少するが、膜厚1.5μm以上では逆に減少する傾向が認められ、現在、その原因を詳しく検討している。
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Research Products
(1 results)