1999 Fiscal Year Annual Research Report
浸炭処理および超微粒子ピーニングによるハイブリッド表面改質材の信頼性評価
Project/Area Number |
10650103
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Research Institution | Meijo University |
Principal Investigator |
江上 登 名城大学, 理工学部, 教授 (80076629)
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Keywords | 表面改賃 / 複合処理 / 浸炭窒化 / 微粒子ピーニング / 残留応力 / 疲労強度 / き裂発生寿命 / 応力拡大係数幅 |
Research Abstract |
資源,コスト低減,性質向上および環境調和などの観点から,材料の表面改質に関する研究は近年活発に取り組まれている.さらに最近は従来の表面改質処理に他の処理を施す複合処理,いわゆるハイブリッド表面改質法が注目されるようになってきた. そこで本研究ではその要求を満たす一つとして,ハイブリッド表面改質材の強度特性から材料の信頼性を検討することを目的とした.初年度はハイブリッド表面改質法として,真空浸炭処理材表面に,超微粒子ピーニングを行う方法を採用し,表面改質後の疲労強度,き裂発生寿命,き裂進展寿命などから表面改質後の信頼性を評価した.この結果は現在,日本機械学会論文集に投稿中である.本年度は初年度とは異なる処理法を採用した.すなわち,浸炭窒化処理を施したSCM415材に超微粒子ピーニングを施し曲げを受けるハイブリッド材の疲労強度,き裂進展挙動などからその信頼性を評価した.更に現在,超微粒子が材料に衝突する際の速度,材料表面温度などについて理論的考察を進めている.実施した研究で得られた主な結果を以下に要約する. (1)浸炭窒化処理後,超微粒子ピーニングを施したSCM415表面層には,厚さ約10μmの腐食されにくい組織変化層が観察され,この層の硬度はHV1100,圧縮残留応力は一1420MPaであった.また,超微粒子ピーニングを施すことにより,引張強さは素材強度に比較して70%程度向上した. (2)疲労き裂進展試験の結果,超微粒子ピーニングは主にき裂発生寿命の向上に効果的であり,浸炭窒化処理は疲労き裂進展速度を低減させることが明かとなった. (3)破損寿命としては,浸炭窒化処理後,超微粒子ピーニングを施した場合,最も長寿命となる. (4)その他,応力拡大係数幅△K,有効応力拡大係数幅△Keffとき裂進展速度da/dNの関係などについて明らかにした.なお,微粒子速度は計算の結果,材料表面に衝突する瞬間で約220m/sになることを明らかにした.
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